Cultureカルチャー

2021年8月27日

バーチャルトリップ vol.4 シチリア中南部

9月はすぐそこというのに全国的に猛暑日が続いております。が、そんな中でもふっとした時に秋の空気や夕方の虫の音で秋は直ぐそこまで来ているのを時折感じますね!さて、今回は先週の宣言通り(笑)、バーチャル トリップ in シチリア 2週目をお届けします。今回めざすは、シチリア島中南部!
日本からのツアー旅行は、多くがパレルモやタオルミーナ、シラクーザなど大都市と東海岸の街の観光がメイン。シチリア南部の街は、一つ一つは小さいものの、街によりガラっと様相が変わり、観てよし、食べてよし、ついでに海もきれいと三拍子そろっているのがシチリア中南部。それでは、シチリアの真の醍醐味を楽しむ旅へSi parte!(出発!)

まずは、南東部の街ラグーサ(イタリア語でラグーザ)。シチリア島の南沿岸部から車で山道を走っていくと、突如目の前に現れる山の中に浮かぶような街。それがラグーザ。この街は1693年の大地震により壊滅的な被害を受け、その後バロック様式で再建された中世の街並みがとても美しい街。新市街地(と言っても18世紀に再建された地区)と旧市街地(イブラ地区)に分かれており、サン・ジョルジオ聖堂やサン・ジョヴァンニ聖堂などバロック建築の見どころが多くありますが、この街は散策するだけでも価値あり。車一台やっと通れるような狭い路地を当てもなく歩くのも楽しいかもしれませんよ!


ラグーザに訪問したならば、ぜひ食べていただきたい一品がシチリアを代表するD.O.P.チーズ「ラグサーノ」。ラグーザ周辺地域のみで生産されているシチリアで最も古いチーズの一つなのですが、今では「絶滅危惧食品」となってしまったチーズ。どの生産者さんも小規模である上に、在来品種であるモディカーナ種の牛乳を使用するのですが・・・ 搾乳量が少ない!そのため、近代化と共に飼育頭数が減り、今では幻になりつつあるチーズ。このラグサーノチーズの面白い点は、チーズ生産と熟成はセットで行うのが通例ですが、ここでは熟成専門の熟成業者が存在すること。巨大金の延べ棒のような形をしたチーズがぶら下がっている光景がとてもユニークです。もし、ラグサーノチーズにお目にかかることがあれば、モディカーナ種の牛乳100%を使用したチーズを味わってみてください!


さて、ラグーザから更に内陸部行ってみましょう!すると、標高608m地点にあるカルタジローネの街に到着。ここは古くから陶器の名産地であり、何と言っても142段の大階段が見もの!階段には鮮やかなマヨルカ焼きタイルがあしらわれていますが、全ての段で絵柄が違うのです!毎年春には、「大階段花祭り」が行われ、また、7月24~25日には聖ジャコモ祭でドラマティックにイルミネーションもされます。これらのタイミングに訪れることができなくても、外せない観光地のひとつです!


さて、今度はカルタジローネから更に内陸部へ。するとピアッツァ・アルメリーナという街に到着。有名であるにもかかわらず、アクセスの不便さにより、なかなか日本からのツアー旅程入りができない僻地。ラグーザからも山道をクネクネと1時間半かかる地。しかし、ここには、今ではシチリア屈指の観光名所となった遺跡「カザーレ荘」があります。3世紀末に建設されたと推測されており、3500平方メートルにもなる屋敷のほぼ全室にモザイクが施されている古代邸宅は、その質の高さと規模は古代ローマ時代最大とも。床のモザイクには当時の人々の衣装や髪型、生活習慣、食材だけでなく、ローマのコロッセオで使われていた猛獣達の種類や輸送方法などが描かれており、考古学的にも大変重要な文化財となっています。アクセスは大変ですが、絶対に見逃せない必見の遺跡です。


そして、今回最後にご紹介するのがシチリアのハイライト観光地の一つでもあるアグリジェント。シチリア南海岸のちょうど中心に当たり、市街地の郊外にあるのがアーモンドの木や果樹が広がる丘の上にある『神殿の谷』。ジョーヴェ・オリンピコ神殿、ヘラ神殿を始め、荘厳なコンコルディア神殿は特に必見。紀元前450年頃に建造されたシチリア島で最も大きいドリス式の神殿は、まるでアテナのパルテノン神殿へ瞬間移動した気分にさせられます。

神殿の谷から車で20分のところにあるのが、『トルコの階段』と呼ばれる海岸。この名称、石灰岩の崖が何となくトルコのパムッカレに似ているから?とも思ったのですが、どうやら大昔にトルコ海賊がここからシチリア島に上陸し、海賊船の隠れ場所になっていたことに由来するそうです。ここで一日のんびり「隠れる」のも悪くないですね!


今回最後にご紹介するのは、やはり豊富な海の幸でしょうか?特にガンベロ・ロッソ(赤エビ)は主にシチリア島周辺で獲れる甘味の強い大変美味なエビ。それに牡蠣やウニなども豪快に生で食べられるのがシチリアの食の醍醐味!またマグロやカジキなどのグリルは、シンプルに塩・こしょうにレモンとシチリア産の美味しいオリーブオイルのみで!
もうすぐ夏も終わりだというのに、結局引きこもりで終わってしまった今年の夏。まだギリギリ旬の岩牡蠣や新鮮な魚介で、せめてご自宅でちょっぴり週末の贅沢を楽しんでみてはいかが?

赤エビやウニなどの新鮮な生の魚介には、シチリアの土着品種グリッロ種で造られた「テレビント」がオススメ!魚介本来の甘みや塩味、フルーティさがフレッシュでアロマティックなテレビントと最高の相性!海の見えるレストランで是非頂きたいですね!
マグロや貝類には、中南部の土着品種フラッパート種を是非合わせてみてください!アロマティックでフルーティなこちらのワインを、少し冷やして魚介類と合わせるのが現地の定番!夏にもピッタリの軽やかな赤ワインです!