赤ワイン

各種ワインの製造工程赤ワイン

ここでは、赤ワインのつくり方をご紹介します。

赤ワインとは?

赤ワインは、黒ブドウから造られるワインです。
しかし、色も淡いものから濃いものまで、味わいも軽やかなものから重厚なものまで様々です。また、飲み頃も今飲んでおいしいものと、何十年も熟成が可能なものと大変バリエーションに富んでいます。

赤ワインの醸造の鍵となるのは、ずばり黒ブドウの果皮からタンニンと色素をうまく抽出することです。 そのために果皮と一緒にブドウを発酵させる必要があります。色やタンニン分は赤ワインのスタイルのひとつでもあり、白ワインとの大きな違いのひとつです。白ワインにはこれらの要素はそれほど重要ではないので、赤ワイン醸造は、白ワインよりも複雑なものになっています。

赤ワインの基本的な製法

それでは、収穫から瓶詰めまでの赤ワインの基本的な醸造フローをご紹介しましょう。

収穫

STEP 01 収穫 (Vendemmia)

イタリアを始め北半球では、8月後半~10月に行われます。
収穫時期は、品種の特性や生産者の望むワインのスタイルやタイプによって異なります。手摘みや機械での収穫になります。

選果

STEP 02 選果 (Selezione delle uve)

ワイナリーに運ばれてきたブドウは、人の手、または機械によって選果されます。
ダメージを受けた実は排除し、健康な実のみを使用します。

除梗・破砕

STEP 03 除梗・破砕 (Diraspatura/Pigiatura)

房から果梗を取り除きます。機械収穫の場合は、果梗はついていません。手摘みの場合も多くの生産者は、果梗を取り除きます。但し、除梗せず房ごと使用する場合や一部使用する場合もあります。
破砕とは、ブドウ果汁を出すために果皮を破ることです。このときに出るのが、フリーラン果汁と呼ばれる果汁です。除梗破砕は、機械で同時に行われることがほとんどです。

発酵前のマセレーション

STEP 04 発酵前のマセレーション (Macerazione pre-fermentazione)

ブドウを破砕したら、生産者によっては発酵前にブドウをしばらく果皮や種子と接触させたまま低温状態で放置することがあります(低温マセレーション)。低温マセレーションの目的は、タンニンを抽出せずに色素と風味成分を抽出することです。

アルコール発酵

STEP 05 アルコール発酵 (Fermentazione alcolica)

酵母の働きにより、糖がアルコールと二酸化炭素に転化することをアルコール発酵といいます。このプロセスで他の副産物として熱と風味成分が生じます。アルコール発酵は5℃未満の温度では開始せず、一般的に、糖分をすべて使いきるまで発酵が続きます。赤ワインの発酵温度は、一般的に20~32℃で、造るワインのスタイルによって異なります。白ワインを造るときよりも高いこの温度は、色素と風味とタンニンの抽出を助けるために必要です。

赤ワインの発酵中に、果肉と果皮が固形物となって表面に浮き上がってきます。この固形物を「果帽」と呼びます。果帽は浮かせたままにしておいても、色素と風味とタンニンの成分は抽出されないので、生産者は造るワインのスタイルに合う方法で、果帽を管理します。代表的な管理方法には以下の方法があります。

素と風味とタンニンの抽出を助けるために必要です。

赤ワインの発酵中に、果肉と果皮が固形物となって表面に浮き上がってきます。この固形物を「果帽」と呼びます。果帽は浮かせたままにしておいても、色素と風味とタンニンの成分は抽出されないので、生産者は造るワインのスタイルに合う方法で、果帽を管理します。代表的な管理方法には以下の方法があります。

  • 1 パンチングダウン(ピジャージュ)

    広く行われている方法で、色素とタンニンを抽出するには非常に効果的な方法です。伝統的には、棒の先につけた平板を使って手作業で果帽に穴をあける作業でしたが、現在は、機械式の平板が使われています。果皮の薄いピノ・ノワールによく使われる方法です。

  • 2 ポンピング・オーバー(ルモンタージュ)

    発酵槽の下部から発酵中の果汁を抜き取り、ポンプで上部に吸い上げて、果帽に流しかける作業です。熱を放出させ、果汁に酸素を添加するのに優れた方法で、タンニンが柔らかくなります。

  • 3 ラック・アンド・リターン(デレスタージュ)

    果帽を残して、発酵中の果汁を発酵容器から別の容器に抜き取り、次にこの果汁をポンプで果帽の上に送り戻す方法です。この方法は、非常に高い抽出効果があるため、通常は発酵中に1回か2回だけ行われます。

  • 4 回転式発酵槽(ロータリー・ファーメンターズ)

    回転式の水平型タンクで発酵が行われます。この方法では、果汁と果皮を絶えず接触させておくことができます。

発酵後のマセレーション

STEP 06 発酵後のマセレーション (Macerazione post-fermetazione)

発酵後のマセレーションは、タンニンの抽出をさらに促します。ワインのスタイルによっては、これを望まない生産者もいます。したがって、発酵後の果皮マセレーションは造るワインのスタイルによって異なります。

圧搾

STEP 07 圧搾 (Pressatura)

マセレーション終了後、フリーランワインを抜き取って果皮と分離させます。残りを圧搾してプレスワインを造ります。圧搾開始時には、プレスワインは、フリーランワインに似ているかもしれませんが、圧搾を続けていくうちに色が濃くなり、タンニンが多くなります。

マロラクティック発酵

STEP 08 マロラクティック発酵 (Fermentazione malolattica)

アルコール発酵が終わると一般的に乳酸菌の働きによってマロラクティック発酵が起こります。乳酸菌は、ブドウに含まれている舌を刺すようなリンゴ酸をよりまろやかな乳酸に転化します。マロラクティック発酵は酸味を減少させて口当たりをまろやかにするほか、バターのような風味をもたらし、炭酸ガスを生じさせます。

ブレンド

STEP 09 ブレンド (Blend/ Miscela)

赤ワインの生産で二つ以上のブドウ品種をブレンドするのはかなり一般的なことで、色素、ボディ、タンニン、酸味、風味などのワインのバランスをととのえるために使用されることが多いです。フリーランワインと圧搾により得られるワインのブレンドも広く行われている方法です。熟成後にブレンドすることもあります。

熟成

STEP 10 熟成 (Maturazione/Affinamento)

発酵、もしくは、ブレンドが終わったワインは、熟成に入ります。

赤ワインの熟成は、木樽(オーク樽が多い)で行われることが多いですが、ワインのスタイルによっては、ステンレスタンクやセメントタンク、また、アンフォラで行われることもあります。木樽の大きさもバリック(225L)やトノー(228L)のような小さめな樽から6000L~10000Lにもなる大樽、また、新樽だったり古樽だったりと、その地方やワインのスタイルによって様々です。

清澄化と安定化

STEP 11 清澄化と安定化 (Chiarificazione e Stabilizzazione)

出来上がったワインを澄んだ状態にするために、澱だけ残してワインの上澄みを容器に移し替える澱引きや、清澄剤の使用により、ワインに含まれる特定の成分と結合し、目に見える塊として凝固させ、濾過により取り除き、ワインをクリアにします。
その後、ワインは安定されます。

瓶詰め

STEP 12 瓶詰め (Imbottigliamento)

最後に瓶詰めをし、栓をしたあと、ラベルを貼り完成です。
出荷前に瓶内で熟成をするワインも多くあります。