Cultureカルチャー

2026年3月10日

イタリアの冬、祝祭の時間

 皆さまも、家族とともにおせち料理を囲み、初詣に出かけるなど、穏やかな三が日を過ごされたのではないでしょうか。

一方で、イタリア人の私がいつも日本について驚かされるのは、その「祝祭」から「日常」への切り替えの早さです。仕事が始まり、街は再び動き出し、お正月の雰囲気はあっという間に薄れてしまいますね。

 しかし、イタリアでは新年の始まりは少し趣が異なり、時間の流れ方も違うようです。 イタリアのカレンダーにおいて、1月の第一週はまだ「祝祭の真っ只中」です。街の広場にはクリスマスのイルミネーションが輝き続け、家族や友人とのランチや集まり、そしてキリスト教の歴史と文化に深く根差した伝統行事が、ゆっくりとした時間の中で続いていきます。こうしてイタリアは、1月6日の「エピファニア(公現祭)」まで、祝祭の余韻を楽しみ続けるのです。

▲ ミラノのドゥオーモ広場

 さらに、こうした長い祝祭期間においては、食は人々の集いの中心となり、そこには必ずワインが寄り添います。ワインは単なる飲み物ではなく、喜びを分かち合い、互いの新しい年を祝福するための「象徴」として、あらゆる出会いの場に欠かせない存在なのです。

 日本ではお正月といえば、お正月は家族と静かに過ごすのが一般的ですよね。
 しかし、イタリアでは少し事情が異なります。イタリアの古いことわざに
 「クリスマスは家族と過ごし、復活祭(新年)は自由に楽しむ。 (Natale con i tuoi, Pasqua con chi vuoi) 」
 というものがあります。

 この言葉が示すように、大晦日を友人たちと集まって盛大なパーティーで過ごしたり、街の広場でにぎやかな雰囲気の中、カウントダウンを迎えたりするのが一般的です。

 イタリアの大晦日の夜は、自宅やレストランでテーブルを囲み、長いディナーを楽しみます。そして12時が近づくと、街の広場に繰り出し、野外コンサートや人々との歓声の中でカウントダウンを迎えます。そして、新年を迎える瞬間に欠かせないのが乾杯です。スパークリングワインが注がれ、幸運、健康、繁栄への願いを込めてグラスが重なります。

▲ ローマでの新年の花火

 イタリアの年越しの食卓に欠かせない、象徴的なメニューをご存じでしょうか。いわゆる「チェノーネ(大晦日のごちそう)」と呼ばれる料理で、とても重要な意味を持つ伝統料理です。それが、豚肉のソーセージである「コテキーノ」と「レンズ豆の煮込み」です。

 特にレンズ豆は、イタリア人にとって最も重要な「縁起物」です。その丸く平たい形が「コイン」を連想させることから、「大晦日の夜にレンズ豆をたくさん食べるほど、新しい年にお金持ちになれる」と言い伝えられています。

 この少し欲張りで微笑ましい習慣こそ、イタリア流の新年の始まりを象徴しています。

▲コテキーノとレンティッキエ(レンズ豆)
▲三賢者とキリスト降誕シーン

 イタリアの長い祝祭の期間を締めくくるのが、1月6日に祝われるエピファニア(公現祭)です。

 イタリア国外ではあまり知られていないこの祝日は、古代の異教的な習慣を起源としつつ、同時にキリスト教の伝統にも深く根ざしています。

 福音書の物語によると、イエス・キリストの誕生に際、遠い国々から来た賢者たちが、一つの星に導かれて長い旅に出て、生まれたばかりの幼子に贈り物を捧げたとされています。この賢者たちは、「東方の三賢者 (Re Magi)」として知られています。

 この物語と深く結びついているのが、賢者たちの到着と「贈り物」の象徴的な意味を祝う1月6日の祝日、エピファニアです。 そして、ベファーナの姿は、この物語を民間で再解釈したものから生まれました。

 言い伝えによると、彼女は賢者たちに旅への同行を誘われたものの、断ってしまいます。しかし、後になってそれを深く後悔し、幼子イエスを探しながら、道中で出会った子どもたちに贈り物を配るようになったとされています。

 ほうきに乗って空を飛び、子供たちの用意した「靴下(カルツァ)」にお菓子を届ける、魔女「ベファーナ」の伝説が誕生しました。

 ベファーナはお菓子だけでなく、「炭(カルボーネ)」も一緒に持ってきます。一見すると、言うことを聞かなかった子どもへの罰のように思えるかもしれませんが、実際には砂糖で作られた甘い炭です。
これは、前年に良い子だったかどうかを思い出させる、愛情とユーモアのこもったジェスチャーです。

▲ベファーナの人形

 イタリアには「エピファニアがすべての祭りを持ち去る(L’Epifania tutte le feste si porta via)」という有名なことわざがあります。通常であれば、この日を境にクリスマスシーズンの飾り付けは片づけられ、イタリアもまた日常へと戻っていきます。

 しかし、祝祭の季節が過ぎ去っても、2026年はすでに新たな祝杯をあげるべき理由とともに幕を開けました。

 なぜなら2026年は、イタリアと日本の外交関係樹立160周年を迎える、両国にとって極めて特別な年だからです。 この記念すべき年の幕開けとなった1月15日から17日には、イタリアのジョルジャ・メローニ首相が日本を公式訪問されました。

▲ フェッラーリ・オマージュ

 こうした重要な外交の舞台において、乾杯のグラスを満たし、対話に華を添えてきたのが、トレンティーノ・アルト・アディジェ州の名門「フェッラーリ社」のスパークリングワインです。昨年のセルジョ・マッタレッラ大統領の訪日時の公式ランチやディナーにおいても同社のワインが供されたように、フェッラーリはイタリアと日本の友好の瞬間を常に彩り続けています。

 そんなフェッラーリ社が、日本との長年にわたる友情への敬意と感謝を込めて造り上げた特別な一本が、今回ご紹介する「フェッラーリ・オマージュ」です。 エチケットには日本で縁起が良いとされる和風の美しい模様があしらわれ、華やかに日本を祝福しています。その象徴的な重要性は、2025年大阪・関西万博のイタリア館公式スパークリングワインとして採用されたことでも裏付けられています。

▲フェッラーリ社のCEO、マッテオ・ルネッリ氏とフェッラーリ・オマージュのボトル

 両国の友好関係にとって重要な節目となるこの年に、イタリアと日本の絆がますます深まっていくことを祝う一杯として、これほどふさわしいボトルは他にないでしょう。

 新たな対話が始まった2026年のひとときに、イタリアの陽気な伝統に思いを馳せながら、この特別な泡で乾杯してみてはいかがでしょうか?

※本記事は2026年1月に作成されたものです。