Cultureカルチャー

2026年4月9日

【JET CUP】チャンピオンツアー Vol.7

第16回 チャンピオン 山田 琢馬氏

イタリア研修 7日目 MASI 訪問

イタリア研修 7日目 MASI 訪問

 

トレントの次に向かったのはヴェローナを代表する赤ワイン産地のアマローネだ。言わずもがなだが、今回訪問したMASI社は1772年からヴァルポリチェッラの中心部を拠点にするリーディングプロデューサーだ。

 

MASI(マァジ)

1772年ヴァルポリチェッラ地区に設立された初のワイナリ―で、ワイナリー名は”Vaio dei MASI”(マァジの小さな谷)に由来しています。200年以上に渡りボスカイーニ家により運営され、現在のオーナー、サンドロ・ボスカイーニ氏が6代目にあたります。マァジ社は、アマローネの故郷ヴァルポリチェッラ・クラッシコに位置するワイナリーで、ヴェネツィア地方において、ワイン造りに最も適した土地を所有するワイナリーでもあります。そして、MASIといえば、アロマや味わいを濃密にするための「アパッシメント製法」。竹製の棚の上でブドウを乾燥させる方法であり、これは、ヴェネトにおける伝統的な製法です。また、アマローネのエキスパートと呼ばれるマァジ社は、①マッツァーノ、②カンポロンゴ・ディ・トルベ、③ヴァイオ・アルマロンの3つのクリュを含めた5種類のアマローネを造っています。

 

訪問前は山間の産地であるため、かなり冷涼な産地だと想像していたが、実際には想像以上に温暖でマイルドな気候が印象的だった。これはヴェローナ北にあるレッシーニ山が北風を遮断、ガルダ湖から暖かい風が吹き抜けることが理由だという。

 

 

訪問してすぐに向かったのはアパッシメントの見学だ。教本やインターネットでは何度もそのエ程を目にしていたが、実際に見学したものは想像を超えていた。まずは温度管理。訪問までは温度管理の度合いを考えたこともなかったが、実際は10度以下で、かなり低温に管理されている。特にマアジ社では季節に関係なく、アパッシメント中の温度変化をなるべく無くすことで品質の向上に努めているようだ。

 

 

アパッシメントは無数に並んだ竹製のラックの上で約半年かけてブドウを干す作業だが、これによってブドウ中の約45%の水分が蒸発するという。マアジ社はワイナリー内にラボを作り、アパッシメントや伝統品種など多岐にわたるデータを収集し、ヴィニタリーにてシェアをするという。彼らがいかに産地の伝統と発展に寄与しているかがよく理解できた。

 

 

続いて、熟成庫に案内していただいた。ここには400万リットルのワインが眠っているが、バラエティに富んだ発酵容器は圧巻だった。特に彼らの看板ワインであるコスタセラアマローネが発酵される9000Lの大樽はこの旅で見た大樽の中でも一番大きかったと記憶している。

 

 

テイスティングルームではマアジ社が手がける様々なワインをテイスティングしたが、特に印象的だったのは。アマローネのクラシコエリアであるネグラールあるマアジ社所有の自社畑、Campolongo di TorbeMazzanoの比較だ。

 

 

どちらの畑もそう離れていないが、Campolongo di Torbeは400~450m程度の標高で風が強く吹き付ける火山性土壌。1958年に史上初のクリュアマローネだ。他国の火山性に由来する“厳しさ”というよりは、アマローネのスケールの大きさがテロワールによってうまく抑制されている印象で、丸みとしなやかさを感じた。一方、Mazzanoは300~350mで石灰が多く水捌けがよい土壌。Campolongo di Torbeとは対照的に、よりストラクチャーがハッキリしていて力強い印象。今すぐ飲むならCampolongo di Torbe、熟成させるならMazzanoという印象を受けた。

 

 

テイスティングの後は、ワイナリーの隣に誕生したMonteleone21でランチを楽しんだ。

 

 

モダンで開放的な空間には、レストランやワインショップのほか、アート作品の展示やイベント開催が可能なスペースも備えられており、人と文化が交差する拠点として設計されている。ヴァルポリチェッラという土地の未来を象徴する存在になるだろうと感じさせられた。