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アブルッツォ アブルッツォ

アブルッツォ州

中部イタリアに位置するアブルッツォは古くから多くの王国に支配され、激しい戦いの戦場になってきた。地元民族は古代ローマに激しく抵抗したことでも知られる。最終的にローマの支配下に入り、ゲルマン大移動後は、スポレート公国、ランゴバルド、ノルマンなどの支配を経て、ナポリ王国の領土となり、1860年にイタリア王国に統一された。ナポリ王国の支配が長かったこともあり、文化的にも南部の影響が強い。経済が遅れていたため、貧しく、多くの住民が移民として外国に働きに出た。1960年代以降は徐々に経済発展をし、今は観光業も盛んだ。

 

ブドウ栽培、ワイン造りは古代から盛んに行われている。温暖な気候と日照に恵まれたアブルッツォでは濃厚で、豊潤なワインが造られるが、30年ほど前まではほとんどがバルクワインとして販売されていた。今は瓶詰めが主流になったが、まだワインの価格は安く、今後は付加価値を高めて、イメージを向上させる必要があるだろう。

 

農業は重要な産業で、果実、野菜、葡萄、オリーヴなどの栽培が盛んである。羊の放牧も盛んで、昔はトランスマンツァTransumanzaと呼ばれる遠距離移動放牧は重要な季節の風物詩であった。

 

東のアドリア海と西のアペニン山脈に挟まれていて、その間に丘陵地帯が広がっているという点ではマルケ州と同じだが、アブルッツォは山岳地帯が多く、しかも山が高い。グラン・サッソ山塊のコルノ・グランデの2,912mはアペニン山脈最高峰で、マイエッラ山塊のモンテ・アマーロも2,793mである。

 

地中海性気候で、夏は暑く乾燥していて、冬は温暖で雨が多い。ブドウ栽培に適した気候である

 

DOCモンテプルチャーノ・ダブルッツォMontepulciano d’Abruzzoは豊かな果実味を持つ濃厚な赤ワインで、低価格でも満腹感を得られるワインを提供してくれる。全州で造られるが、最近は地域ごとのテロワールの違いが明確になってきた。

 

テラモ県のモンテプルチャーノは、凝縮感があり濃厚で長期熟成能力が高いことで知られ、2003年にモンテプルチャーノ・ダブルッツォ・コッリーネ・テラメーネとしてDOCGに昇格した。パワフルなモンテプルチャーノの産地である。

 

ペスカーラ県ではロレート・アプルティーノの美しい丘陵地帯で造られる調和の取れた優美なモンテプルチャーノが造られている。

 

キエーティ県は大きな生産者協同組合が多く、大量生産で有名だったが、昼夜の温度差が激しいマイエッラ山塊近くでは、パワフルなモンテプルチャーノが生まれる。

 

アクイラ県は厳格なモンテプルチャーノでも注目を集めている。昔は冷涼過ぎる産地だったが、今は温暖化のおかげでブドウがちゃんと成熟するようになり、急速に品質が高まった。

 

モンテプルチャーノで造られるロゼワイン、DOCチェラスオーロ・ダブルッツォCerasuolo d’Abruzzoは、以前はシンプルなワインとして疎かにされていたが、今は芳しいチェリーのアロマと心地よいスパイシーさを持つフードフレンドリーなワインとして評価が高まっている。プロヴァンス・スタイルの淡いロゼとは異なり、堅固な味わいのロゼワインで、ボディーもしっかりしていて、赤ワインに近い。

 

DOCトレッビアーノ・ダブルッツォTrebbiano d’Abruzzoはフレッシュで爽やかなワインだが、やや個性に欠けるものがほとんどだ。

 

アブルッツォの料理は独自のアイデンティティーを保っている。羊飼い料理が基本で、サラミ、チーズ、パン、パスタなどが主体の素朴な料理である。豚の丸焼きのポルケッタPorchettaは、他州と違って子豚ではなく大きな豚を使用するのがアブルッツォ流だ。アブルッツォらしい料理がペーコラ・アッラ・コットーラPecora alla cottoraで、大きな銅鍋でスパイスとハーブを効かせて羊を長時間煮込んだくせの強い味わいだ。唐辛子をよく使うことも特徴的だ。

ペアリング

おすすめワイン


イ・ヴァサリ

格付: モンテプルチアーノ・ダブルッツオDOC

Pecora alla cottura

大きな銅鍋で、スパイスとハーブを効かせて、羊を長時間煮込んだお料理。しっかりと煮込むことで、羊の繊維質が融解し、豪快な料理ではあるが、滋味深い味わい。スパイスとニンニクが創る個性豊かなフレーバーと、仔羊のホロホロとした食感、旨味溢れるしっかりとした味わいに、ワインが持つ豊かな香り、ヴォリューム感、しっかりとしたタンニンが、口中を包みこみ、フィニッシュへ誘います。

 

Maccheroni alla chitarra

ご存じ、アブルッツォ州の郷土パスタで仔羊とパプリカのラグーの伝統的なスタイルで。仔羊のゴロゴロした肉肉しいニュアンスにパプリカ・トマトを炒めたコクのある深み。そこにキタッラが絡み合い、モチモチとした食感で、旨味が溢れます。ワインの豊かなフレーバーとしっかりとしたタンニン、スムースな質感、芯のある骨格、そしてフィニッシュまで持続する程よい酸味が、全体を引き締め、フィニッシュを創ります。一度食べたら、止まらない、やめられないペアリング。

 

関東風すき焼き

最初からわりしたを煮立てるのが関東風。こっくり甘辛味のわりしたに牛肉のうまみが移って、具もおいしく食べられます。割り下の甘やかなニュアンスと、お肉の旨味、野菜の食物繊維が溶け込んだ3重奏の味わいに、ワインの甘やかなフレーバー、程よいタンニンと質感が、マッチング。穏やかな酸味が余韻を綺麗に整え、充実したフィニッシュを創ります。タッグ型ペアリング。

 

タンドリーチキン

タンドリーチキンは鶏肉をカレー粉などのスパイスとヨーグルトで漬け込み、「タンドール」と呼ばれる窯で焼いた料理。窯中が高温で短時間で仕上がるので、外側はパリパリ、短時間で仕上げることで中はジューシーに。チキンの豊かでスパイシーなフレーバーと、ワインのあ甘やかでリッチなフレーバーが同調し、ジューシーな肉感とワインのタンニンと質感、芯のしっかりとしたミネラルが、口中に旨味を広げていく。余韻にかけて穏やかな酸味がフィニッシュを創る。タッグ型ペアリング。

 

黒豚角煮

角煮の持つ、重厚感ある複雑なフレーバーがワインの複雑味のある香りと同調し、角煮のとろける油分と、タンニンが結合し、ワインの酸味が口の中をさっぱりとさせる。お肉のトロトロと溶けていく感覚に、ワインのなめらかな質感がマッチングしていき、心地良いフィニッシュに向かいます。包み込む型ペアリング

 

フェジョアーダ

フェジョアーダは、黒インゲン豆とソーセージや豚肉・牛肉などを煮込んだ料理で代表的なブラジル料理のひとつ。コクのある味わいと黒インゲン豆からくる食物繊維質のニュアンスが、ワインの持つミネラルと重厚なフレーバー、豊富なタンニンがしっかりと受け止めます。包み込む型ペアリング。

 

おすすめワイン


トレッビアーノ・ダブルッツォ

格付: トレッビアーノ・ダブルッツォDOC

 

Brodetto di pesce alla pescarese

たっぷりの海の幸、ムール貝や有頭海老、トマト、ニンニクで煮込んだお料理、「飲む」というより「食べる」スープ。豪快な南イタリアらしい逸品。コクのある旨味たっぷりの味わいと、トマトの酸味、食欲をそそるニンニクのフレーバーに、このワインの持つしっかりとしたボディ、伸びのある酸味、オイリーな質感がしっかりと受け止め、タッグを組んでフィニッシュへ向かいます。飲みすぎ注意。タッグ型ペアリング。

 

Ventricina

胡椒とオレンジの皮で風味付けしたサラミ豚肉に豚脂を加えたもので、ニンニク、塩、すりつぶした黒と白のコショウ、ホットとピーマン、オレンジの皮、ローズマリー、ピーマンのペースト、フェンネルなど、様々なスパイスを加えます。ワインの持つ、やや酸化的なフレーバー・持続性のある酸味、そして味わいのニュアンスが、保存食である酸化熟成させた風味豊かなサラミとマッチング。止まらなくなるペアリング。

 

鶏肉の西京焼き

鶏モモを使った西京味噌焼きです。味噌のコクのある味わいと、鶏に鶏肉の咀嚼感と、ワインのミネラル感が同調し、ワインの穏やかな酸味と味噌の風味がマッチング。心地良いフィニッシュへ誘います。包み込む型ペアリング。

 

オニオングラタン

玉ねぎを飴色になるまで、しっかりと炒め、ブイヨンスープと塩・胡椒で味付けをし、パンとチーズを加え、香ばしく焼き上げたもの。玉ねぎの飴色になる現象の「メイラード反応」と、ワインの持つ若干の酸化的なニュアンスと、チーズのクリーミーで香ばしいトーンがワインの質感とフレーバーに同調。甘やかなフレーバーとクリーミーなニュアンスが包み込む。包み込む型ペアリング。

 

パエリア

鶏モモ、イカ、エビ、アサリなどど一緒にパプリカや玉ねぎの野菜を使い、最後にサフランで風味付けをしたお米料理。魚介の旨味成分のアミノ酸系とワインのミネラル感が同調し、パエリアに仕上げにレモンを絞るフレッシュな酸味が、ワインの活き活きとした酸味に反応し、全体をぎゅっと引き締める。下支え型ペアリング。

 

腰果鶏丁

一口大に切った鶏肉にパリパリに炒ったカシューナッツ、野菜を加えて炒め、ニンニク、醤油、海鮮醤(ホイシンソース)から作る茶色のソースを絡めて作る。ワインの酸化的ニュアンスと樽由来のナッティなニュアンスが鶏の食感と、ナッツの香ばしさにマッチング。タッグ型ペアリング。

 

ペアリング提案

第13回JETCUP優勝

瀧田 昌孝さん

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イタリアワイン格付(DOCG、DOC)一覧

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