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モリーゼ モリーゼ

モリーゼ州

モリーゼでもワイン造りは古代から行われてきた。古代ローマ崩壊後は、ランゴバルドのベネヴェント公国、ノルマン、ナポリ王国の支配を経て、イタリア王国に統一された。

北はアブルッツォ、西はラツィオ、南はカンパーニア、プーリアと接している小さな州なので、それらの州の文化が交わる場所だと考えられることが多い。実際に栽培されている品種を見ても、カンパーニア州のアリアニコ、ファランギーナ、グレコ、アブルッツォ州のモンテプルチャーノ、トレッビアーノ、プーリア州やラツィオ州で多く栽培されているマルヴァジアなど隣州の土着品種が多い。ただモリーゼにもちゃんと産地としてのアイデンティティーがあり、その象徴が土着品種ティンティリアだ。一時期は生産量が多い他の品種に押されて、栽培面積が激減していたが、今はその品質が再評価され、ティンティリアに力を入れる生産者が増えている。18世紀にスペインから伝わったとされる黒ブドウで、不思議なことにモリーゼ州だけで栽培されている。標高200m以上の丘陵地帯を好む。タンニン豊かで、スパイシーで、少しハーブを感じさせる魅力的なワインが生まれ、明確な個性を持っている。

 

1980年代に誕生したDOCビフェルノBiferno、DOCペントロ・ディ・イセルニアPentro di Iserniaに加えて、2000年前後にDOCモリーゼMolise、DOCティンティリア・デル・モリーゼTintilia del Moliseが加わった。

DOCペントロ・ディ・イセルニアの産地はアペニン山脈に近いイセルニア県で、夏は暑すぎず、乾燥していて、葡萄栽培に適している。DOCビフェルノの産地であるカンポバッソ県は低めの丘陵地帯が続き、海岸に近い地域は地中海気候で果実味豊かなワインができる。1960年代から栽培が困難な山岳や標高の高い丘陵から、栽培が容易な標高の低い丘陵や平野部に中心が移っていったが、今は標高の高い畑のブドウの品質の高さが見直されている。生産量の71%を赤ワインの比率が高く、アリアニコやモンテプルチャーノでも良質のワインが生まれる。

 

料理は隣のアブルッツォによく似ている。アブルッツォと同じく移動放牧が盛んで、羊飼い料理も根付いている。チーズやサラミは種類が豊富だ。チーズではカッチョカヴァッロCacciocavalloが有名。カーポフレッドCapofreddo(ソプレッサータSoppressata)は茹でた豚に唐辛子などを入れて、固めたもので、前菜に食べられる。パスタではカヴァテッリCavatelliが有名だ。卵を使用せず、硬質小麦と水だけで手打ちされたショートパスタで、豚のミートソースやトマトソースと和えられる。アブルッツォと同じくスパゲッティ・アッラ・キタッラSpaghetti alla chitarraはモリーゼでも一般的だ。ポレンタPolentaもよく食べられる。メインディッシュは豚肉、羊肉を使ったものが多い。唐辛子を多用することもアブルッツォに似ている。海岸に面したテルモリTermoliのブロデット・ディ・ペッシェBrodetto di pesceは10種類近い魚介類を使った魚のスープで、アドリア海ならではの味わい。

オリーヴ・オイルは良質でD.O.P.オリオ・モリーゼOlio Moliseに認定されている。

ペアリング

おすすめワイン


マッキアロッサ

格付:モリーゼDOC

 

パンパネッラ モリザーナ

豚肉(主にスペアリブやバラなど)をたっぷりのカイエンペッパーとパプリカの粉末、ニンニク、塩、白ワインビネガーで味付けしオーブンで焼き上げるお料理です。モリーゼ州特産のトウガラシと豚肉の甘い脂、ワインビネガーの酸味が一体になり、そこにワインの持つペッパーや杉のような香りが良くマッチし、さらに程よいタンニンと酸味が後押し。食が進む事間違い無し!辛党にはカイエンペッパー多めがオススメ。自宅でもで手軽に楽しめ好相性のお料理です。他にはラムチョップのグリリア、焼き野菜のマリネも良い組み合わせ。

 

トルチネッリ

仔羊のレバーをニンニク、レモンピール、イタリアンパセリで味付けし腸で巻いた物をグリリアまたはオーブンで焼き上げるお料理です。腸の脂の甘さがワインのボリューム感と、そして下味されたスパイシーでどこかオリエンタル風味のレバーがワインのボタニカルな風味と良く呼応する。通常セコンドピアットであるが少量であれば前菜としても楽しめる。表面は焦げるぐらいに焼くのが肝心。付け合わせはシンプルにトマトやルーコラセルヴァティカのサラダが良く合う。ご家庭では鶏レバーを薄切り豚バラ肉で巻いても美味しい!

 

うなぎの蒲焼、うな重

甘辛く味付けされた和食との相性は目を見張るものがある。そこでうなぎの登場!甘いタレとうなぎの脂が焦げ、香ばしい香りが食欲をそそり、お口の中いっぱいに広がる旨味!そこにワインが持つ豊かな果実の香りとボリューム感、果実味が見事に調和し幸せな時間を与えてくれます。数少ない和食でのスパイスの山椒は必須でティンティリア種が持つスパイシーさと良く重なる。また山椒をカレー粉に変えると違った一面が楽しめる。他には焼き鳥、焼肉も良い。コチュジャンや豆板醤を加えるとさらに共鳴する。タレを使ったお料理が大好きという人におすすめのワインペアリング。

 

四川風麻婆豆腐

このマッキアロッサを是非とも中国料理(特に四川料理)に合わせて頂きたい。四川料理は他の地域より油やスパイスを多めに使用する傾向があるためワインで口中をスッキリさせつつ料理を引き立てる事が重要。ワインのまろやかさやボリューム感が唐辛子、豆板醤、花椒、胡椒の迫り来る辛さとスパイシーさを優しく支えてくれる。無意識のうちにワインが進む事間違い無し!他には回鍋肉、青椒肉絲や中華風腸詰めなども良く合う。ご家庭はもちろん中国料理店でも楽しんで頂きたいペアリングです。

 

シシカバブ

ティンティリア種のルーツは18世紀にスペインより伝来したという説とイルピニアが起源という説があるがスペイン説のほうが有力のようだ。収量が少ないため忘れ去られていたがクラウディオ・チプレッシが旗手となり本品種を復活。今日ではモリーゼ州最高級品種として認識されている。シシカバブとの相性はとても良く、お肉の種類は選ばないが特に羊が良い。一口大でも挽肉で仕上げても大丈夫。クミンの風味ととても良くマッチする。パプリカやシシトウなどの焼き野菜を添えるとさらにBUONISSIMO!

 

タンドリーチキン

全くもってオリエンタル料理との相性が良いワインです。中東からアジアまでの料理を幅広くカバーできる。そこでタンドリーチキン。ニンニクや生姜、様々なスパイス(チリ、コリアンダー、クミンなど)の風味がワインのスパイシーさと良く重なり、噛むたびに口中に広がる鶏肉の旨味を優しく包み込み、豊かなタンニンが余韻を見事にまとめてくれる。最もご家庭で手軽に楽しめるペアリングでしょう。もちろんバターチキンカレーやサモサなどのインド料理全般に相性が良いので是非とも本格インド料理店でもお試しあれ!

 

ペアリング提案

第11回JETCUP優勝

竹林 貞信さん

MAP

イタリアワイン格付(DOCG、DOC)一覧

モリーゼDOC