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カンパーニア カンパーニア

カンパーニア州

この20年ほどのカンパーニア・ワインの躍進には目覚ましいものがあり、イタリアで最も活気があるワイン産地の一つである。

古代から常に歴史の中で重要な役割を演じてきた州で、ナポリがネアポリスと呼ばれていたギリシャ植民地時代、皇帝や貴族が別荘を建てる保養地として栄えた古代ローマ時代、東ゴート族、ランゴバルド族の支配を経て、東ローマ帝国の属州となった時代、ノルマン支配下の時代、そしてナポリ王国(フランスのアンジュー家、スペインのアラゴン王家、ブルボン家)の時代、1861年以降のイタリア王国時代、戦後のイタリア共和国時代とずっと重要な州であり続けた。今でも美しい自然、数え切れない文化遺産を求めて多くの観光客が世界中から押し寄せる。

 

西にはティレニア海が広がり、東側には南北にアペニン山脈が走り、その間に丘陵地帯がある。ナポリ沖に浮かぶイスキア島、カプリ島も優れたワイン産地だ。ヴェズヴィオ(今も活動的)やロッカモンフィーナなどいくつか大きな火山があり、火山性土壌がワインに独自の個性を与えている。

海に近い産地は太陽に恵まれ、温暖な地中海性気候だが、アペニン山脈に近い内陸部のイルピニア地方などは大陸性気候で冬には雪も降る。

イルピニア地方で造られる3つのDOCGワインが重要だ。

 

DOCGタウラージTaurasiは厳格な赤ワインで、長期熟成能力が高い。果実味、酸、タンニンが強く、かなり熟成させる必要のあるワインだ。白胡椒のアロマが特徴的。

DOCGフィアーノ・ディ・アヴェッリーノFiano di Avellinoは非常に繊細で優美な白ワインだ。フローラルなアロマが魅力的で、すぐに飲んでも美味しいが、意外に熟成能力が高い。

上品なフィアーノ・ディ・アヴェッリーノと対照的に強い個性を持つのがDOCGグレーコ・ディ・トゥーフォGreco id Tufoだ。凝灰岩土壌(トゥーフォ)でグレーコ品種を使って造られる白ワインで、赤ワインに近い力強さを持つ。蜂蜜のアロマが特徴的で、酸とミネラルが強烈だ。長期熟成能力が高く、熟成により黄金色になっても、フレッシュな味わいと生き生きとした酸を保持する。

同じく内陸部のサンニオ地方(ベネヴェント県)もアリアニコの優れた産地で、DOCGアリアニコ・デル・タブルノAglianico del Taburnoはタウラージに似ているが、より豊潤な果実を感じさせる。サンニオ地方は白ブドウのファランギーナFalanghinaも素晴らしいものができる。

 

北のラツィオ州に近い海岸沿いのDOCファレルノ・デル・マッシコFalerno del Massicoは、古代ローマ時代にファレルヌムとして知られた産地だ。暑く乾燥した地中海気候で、華やかなアロマを持つファランギーナと豊かなアリアニコが造られている。

 

ナポリ湾のDOCカンピ・フレグレイCampi Flegrei、DOCヴェズヴィオVesuvioでは火山性土壌で、ピエディロッソ、シャシノーゾ、アリアニコによる赤ワイン、ファランギーナ、コーダ・ディ・ヴォルペ、ヴェルデーカによる白ワインが造られている。昔は親しみやすい味わいの早飲みワインが多かったが、近年は熟成能力もある味わい深いワインが増えた。DOCヴェズヴィオに含まれるヴェズヴィオ・ラクリマ・クリスティVesuvio Lacryma Christiは「キリストの涙」を意味し、日本で特に根強い人気がある。

 

アマルフィ海岸、ソレント海岸の絶壁の段々畑でも、個性的なワインが造られている。暑い産地であるにもかかわらず、土着品種から生まれるワインはみずみずしい。

 

イスキア島では土着品種ビアンコレッラBiancolellaによるほのかな塩味を感じさせる軽やかな白ワインが造られる。

 

南のチレント地方では、トロピカル・フルーツを感じさせるフィアーノ、完璧に成熟したフルーティーなアリアニコなどが注目に値する。

 

料理は地中海的で、オリーヴオイル、ニンニク、唐辛子を多用し、恵まれた素材を生かしたものが多い。ナポリ近郊のグラニャーノGragnanoのパスタは最高級品だし、ソース用のトマトであるサン・マルツァーノは有名だ。

ペアリング

おすすめワイン


タウラージ

格付: タウラージ DOCG

 

トリッパ アラ ナポリターナ

トリッパ アラ ナポリターナなどはいかがでしょうか。ワインの持つエレガントな酸味がトマトの酸味に、主張しながらエレガントなタンニンがトリッパの身に、スパイシーさが全体を包み込んでくれるのではと思います。このワインはエレガントな味わいで、数あるタウラージの中でも飲みやすく親しみやすいのでトリッパなどともうまく絡み合ってくれることでしょう。

 

ポルピ アッラ ルチアーナ

ポルピ アッラ ルチアーナと合わせてみるのも面白いと思います。タウラージにすこしスパイスの様なニュアンスがあるのでトマトと唐辛子のピリッとした辛味にうまく乗ってくれるのではないでしょうか。またタコの旨味とワインのタンニンのバランスがちょうど良く絡み合ってくれると思います。

 

和牛のすき煮

ブランド牛(和牛)のすき煮をお薦めいたします。タウラージは粗々らしいイメージがありますがこちらはエレガントスタイルの為タンニンの荒々しさがあまりなく繊細なので和牛のサシとも相性が良いと思います。一緒にトマトを入れて煮込むと更にグッド。トマトの酸味がすき煮本体に締まりを与え、さらにワインの酸味ともうまく合ってくれる事でしょう。

 

仔羊のロースト

タウラージのような力強いワインにはやはり肉料理は定番だと思います。特に仔羊の肉にはぴったりでローストやグリルとの相性は抜群でしょう。特にニュージーランド産のラムチャップなどがよろしいかと思います。ワインにスパイスやハーブのようなニュアンスもあるのでソースにハーブやスパイスを効かせて薫り高く召し上がっていただくと至高の組み合わせではないでしょうか。

 

バーベキュー

場所やシチュエーションを選ばずに飲むのであればバーベキューに持っていくと重宝すると思います。バーベキューにタウラージ?と思うかもしれませんが、ワインの持つスパイスさやハーブの様なニュアンス、また重厚ながらエレガントな味わいは、炭で焼くソーセージや牛肉、また野菜などととても良く合います。南のワインの王様をそういう扱いすると怒られるかもしれませんが現在はこだわらずに飲むのも一興だと思います。

 

サムギョプサル

タウラージの持つスパイシーさや果実味、タンニン分などを考慮し韓国料理で世界的に広がっているサムギョプサルを提案したいと思います。豚肉を使いますが余分な脂分は斜めの鉄板で流れますし、少し甘めのスパイシーな付けダレはワインのスパイシーな部分に合ってくると思います。また余分な脂は流れるとはいえ少々脂っこいのでそれをタンニン分がさっぱりときれいに締めてくれると思います。

 

おすすめワイン


グレーコ・ディ・トゥーフォ

格付: グレーコ・ディ・トゥーフォDOCG

 

ムール貝のワイン蒸し

ムール貝のワイン蒸しをお薦めいたします。今や日本でもムール貝のワイン蒸しはメジャーになっており、イタリアンレストランだけでなく様々な場所で供されています。どんな味付けにもグレコの持つ豊かな酸味と果実味がムール貝に寄り添ってくれると思います。ワインに黄色い花やフルーツを連想させる香りがあるので、特にサフランを使ったワイン蒸しとの相性は抜群です。

 

モッツァレッラ イン カロッツァ

もう一つはモッツァレッラ イン カロッツァに合わせたいと思います。グレーコにはさっぱりとした酸味とミネラルがあり柑橘などの爽やかなニュアンスもあります。モッツァレッラをパンにはさんで揚げたこの料理は手軽で誰でも美味しく食べられる料理です。あまり高級な料理ではありませんが、このワインを一緒に飲めば気が付けばボトルが空になっていることと思います。

 

豚肉のしゃぶしゃぶ

グレーコには柑橘系のニュアンスや豊かな果実味がありミネラルも感じます。そこで提案したいのが豚肉のしゃぶしゃぶです。しゃぶしゃぶそのものはさっぱりとした味わいですが、つけダレには様々なバリエーションがあります。ポン酢には柚子や橙、その他様々な柑橘を使用すると思いますがその柑橘に合わせてみるのも面白いですし、ゴマダレにもその豊かな果実味とキレのある酸味がより一層ゴマの風味を引き立ててくれるのではないでしょうか。

 

牡蠣

グレーコのミネラル感と程よい酸味には牡蠣を使った料理などはいかがでしょうか。生牡蠣から焼牡蠣、グラタンなど様々な調理法に良く合う事と思います。夏はキリッと冷やして岩牡蠣にヴィネガーとレモンで、冬はホワイトソースやオランデーズソースなどを乗せてグラタンにしてグレーコと一緒に食べれば海のミルクが口中で豊かな味わいに変わるでしょう。

 

フィッシュ&チップス

グレーコにはミネラル豊富できりっとした酸味があるのでフィッシュ&チップスなどとも相性が良いように思います。元々魚介との相性は最高に良いので、白身の魚を揚げた料理との相性は抜群です。また魚やポテトを揚げる際の油ですが昔はラードを使用していたそうで、もし現在ラードで揚げたフィッシュ&チップスを表現したら、グレーコの持つ石灰質的な風味と相まって、その風味もより一層合う事でしょう。

 

上海ガニ

甲殻類との相性も良いグレーコですので上海ガニ(チュウゴクモクズガニ)に合わせてみてはいかがでしょうか。旬の上海ガニは身もミソも濃厚でとても美味しいです。グレーコのミネラル分と柑橘の香りが蟹の味わいを引き立ててくれること間違いなし。一見ミソとは合わなさそうですがそのミソにミネラル分と酸味が有効です。濃厚なミソにレモンや柚子などを垂らして食べるような感覚に陥るでしょう。

 

おすすめワイン


フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ

格付: フィアーノ・ディ・アヴェッリーノDOCG

 

インサラータ ディ カプレーゼ

インサラータ ディ カプレーゼとの相性がよろしいかと思います。本来カプリ島の料理ですがモッツァレッラは今や日本でもたくさん食べられます。フィアーノの持つ柔らかい味わい、独特の果実味、さらに甘やかな香りがトマトの酸味、モッツァレッラの甘味、オリーブオイルの香りと相まって食事の一皿目を盛り上げてくれると思います。

 

ゼッポリーネ

少しB級グルメかもしれませんがゼッポリーネと一緒に飲んでみると意外に相性が良いと思います。ゼッポリーネは海藻入りのピザの生地を揚げて味付けしたものなので、シンプルな味わい。そこへフィアーノの様な柔らかな果実味と優しい酸味のあるワインを合わせると、包み込んでくれるような味わいに変わります。

 

白身魚

鱈や鱒など白身の魚の幽庵焼などはいかがでしょうか。幽庵焼とはいわゆる西京漬けのように醤油、味噌、味醂に漬け込んだあとに焼く和食の伝統料理です。漬け込んでいるため味わいにコクが出、焼き上げるためふんわり香ばしい香りがあります。合わせる定番は日本酒なのですがフィアーノには柔らかく甘やかな果実味と優しい酸味があるのでとても良く寄り添ってくれることでしょう。

 

豚肉

フィアーノには柔らかな酸味と豊かな果実味があるので豚肉などとも相性が良いと思います。例えばポークソテーやローストポークなどと合わせてみるのも面白いのではないでしょうか。オリーブオイルと塩胡椒のみでソテーして、これまたオリーブオイルと塩胡椒で味付けをした野菜を添えて一緒に食べるとフィアーノの良さが際立ってくると思います。

 

ベトナム風生春巻き

べトナム料理の代表である生春巻きなどはいかがでしょうか。様々な具を米粉で出来た皮に巻いて食べるので様々な味がありますが、フィアーノにはそれらのどの食材とも合う凡庸性を持っていると思います。特にスパイシーなソースを使用してもその辛み成分を包んでくれる甘やかさやハーブのようなニュアンスもあるので一緒に包んだ野菜類とも合い相乗効果で美味しくなると思います。柔らかな酸味がアフターをさっぱりとさせてくれるでしょう。

 

ザワークラウト

ドイツの名物料理、ザワークラウトに合わせてみてはいかがでしょうか。キャベツの酸味とソーセージやアイスバインなどの豚肉とも良く合います。柔らかな果実味のあるフィアーノですので優しく寄り添ってくれると思います。またその他肉類だけでなく鱒やイワナなどの川魚を用意してそこへザワークラウトを添えてフィアーノと共に楽しむこともできます。ドイツやアルザスのワインと違った楽しみ方が出来ると思います。

 

おすすめワイン


ファランギーナ

格付: ファランギーナ・デル・サンニオDOC

 

アクアパッツァ

アクアパッツァなどの魚介類を使用した料理と共に飲むのはいかがでしょうか。アクアパッツァは高級な料理のイメージがありますが元々は漁師が船の上で食べていた料理。高級(高価な)と言われるワインを合わせるよりも、ファランギーナの様な親しみのあるワインで食べる方がお互いを美味しくしてくれると思います。特に元々は海水で煮込んだ料理ですので塩が強いのが本来です。ちょっと強めの塩をしたアクアパッツァと共に。

 

ナポリ風ピッツァ

ファランギーナには親しみやすい果実味があり普段使い出来るワインだと思いますのでナポリ風ピッツァなどいかがでしょうか。地域性の観点からも地元の料理です。マルゲリータの様なシンプルなものやマリナーラのようにアンチョビを加えてもよろしいかと思います。気軽に食べられるピッツァと共に飲めば、気づいたらグラスが空になっているでしょう。

 

天麩羅

ファランギーナはさっぱりとした味わいに加え果実味もあり飲みやすくバランス良い仕上がり。香りに特徴があり、ハーブや淡い黄色系のフルーツのニュアンスもあります。そのため天麩羅との相性が良いと思います。中でも初春のこごみやぜんまい、蕨など香りのある山菜や初夏の鱸など白身のお魚との相性は抜群だと思います。

 

プロヴァンス風のブイヤベース

アクアパッツァと似ているかもしれませんがプロヴァンス風のブイヤベースとの相性は最高でしょう。アクアパッツァもブイヤベースも基本的には同じ魚介の煮込み料理ですが違う点がルイユやアイオリソース、サフランや香草類を使用しますがそれらのソースなどともバランス良くつないでくれるのがファランギーナであると思います。ワインに少々ハーブやサフランのニュアンスもありますのでばっちり合ってくれるでしょう。

 

クラムチャウダー

貝類との相性もよろしいかと思いますのでクラムチャウダーに添えてみるのもなかなか美味しいと思います。ニューイングランド風は牛乳を使いますが、マンハッタン風のクラムチャウダーはトマトを使用しますのでカンパーニャのワインであるファランギーナには最高の組み合わせでしょう。またアサリなどの小さな貝類の磯の香りにファランギーナのミネラル分が良く合います。濃厚な味わいを口中でさっぱりさせてくれます。

 

BLTサンド

ちょっとした軽食でBLTサンドと共に軽く一杯といった感じでファランギーナを飲んでみるのも良いかもしれません。ファランギーナにはさっぱりした酸味と果実味豊かで飲みやすいのでベーコンやトマト、レタスを挟んだサンドウィッチと良いと思います。またサンドウィッチのパン生地も柔らかいものではなくしっかりと噛み応えのある生地だとより一層よろしいかと思います。というのはしっかり噛むことにより挟んだ具材の味がしっかりと出てくるのでそこへファランギーナをごくりと飲むのは最高です。

 

ペアリング提案

第4回JETCUP優勝

西村 圭太郎さん

MAP

イタリアワイン格付(DOCG、DOC)一覧

タウラージ DOCG

グレーコ・ディ・トゥーフォDOCG

フィアーノ・ディ・アヴェッリーノDOCG

ファランギーナ・デル・サンニオDOC

Vintage Report

イルピニア地方は雨量の多い地域として知られています。年間の雨量が約100日の間に1,200~1,300㎜もあります。

2021年の降水の分布が異常で不規則となりました。1.125 mmの雨が年の最初と最後だけに降り、発芽と収穫の間の時期(4月~10月)はたった180 mmしか降りませんでした。

病気にかからず、ブドウの最適な熟成に至ることができました。

ブドウが非常に良い状態だったため、理想的な収穫となり、生産量も満足できました。唯一の非標準値は、酸度のレベルが低く、砂糖が多いことでした。

全体的に2021年の収獲は理想的と言っても間違ありません。