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フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア

フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州

フリウリは南に広がるアドリア海から暖かい風が吹き込みブドウの成熟を助けると同時に、北にあるジュリア・アルプス山脈からの冷気が夜の温度を下げて、ブドウの酸とアロマを保持するという理想的産地だ。

日本で見かけることが多い高品質ワインはスロヴェニア国境に近いDOCコッリオ/コッリオ・ゴリツィアーノ Collio/Collio Goriziano、DOCフリウリ・コッリ・オリエンターリ Friuli Colli Orientali、DOCフリウリ・イソンツォ Friuli Isonzoのものがほとんどだ。一方、西側に広がる広大なフリウリ平野では、低価格の飲みやすいデイリーワイン(DOCフリウリ・グラーヴェFriuli Grave、DOCフリウリ・アンニア Friuli Annia、DOCフリウリ・ラティサーナ Friuli Latisanaなど)が大量に造られているが、日本で見かけることはあまりない。これらのマイナー呼称を包括して一つにまとめるために2020年にDOCフリウリ/フリウリ・ヴェネツィア・ジュリアFiuli/Friuli Venezia Giuliaが誕生したので、この呼称を使い始めた生産者も多い。

コッリオとコッリ・オリエンターリはポンカと呼ばれる泥灰土と砂岩の混ざる土壌が特徴的で、水はけがよいのでブドウ栽培に適していて、強いミネラル分をワインに与える。コッリオは冷涼な気候で、非常に優美な白ワインが生まれる。リボッラ・ジャッラ、マルヴァジア、シャルドネ、ソーヴィニョン・ブラン、ピノ・グリージョなどどの品種で造られてもコッリオのワインは堅固で、持続性があり、強靱なミネラルを感じさせる。コッリ・オリエンターリは気候がより温暖で、白ワインだけでなく赤ワイン(スキオッペッティーノSchioppettino、レフォスコRefosco、タッツェレンゲTazzelengheなど)も素晴らしい。またコッリ・オリエンターリで造られるピコリットPicolitはイタリアを代表する甘口ワインで、DOCGに認められている。少しタンニンを感じさせるヴェルドゥッツォVerduzzoという品種で造られる甘口ワインも興味深く、ラマンドロRamandoloはDOCGに認定されている。コッリ・オリエンターリのソットゾーナ(サブゾーン)であったロサッツォRosazzoが2011年にフリウラーノをベースにした白ワインとしてDOCGに昇格した。有名なロサッツォ修道院を中心とする小さな地区で、丘陵の南端に位置していて、日当たりが良く、ふくよかで、複雑なワインが生まれる産地だ。

トリエステ近くにある石灰台地で造られるDOCカルソCarsoは岩と海を感じさせる硬質なワインで、厳格な魅力に溢れている。土着品種ヴィトヴスカVitovska、マルヴァジア・イストリアーナによる白ワインが特に素晴らしい。

料理に目を向けると最も有名な食材はサン・ダニエーレの生ハムProsciuto di San Danieleだ。前菜ではすりおろしたモンタジオMontasioチーズの粉にポテトと玉葱を混ぜたものを焼いて薄いオムレツのように仕上げたフリーコFricoをよく見かける。イストリア地方の名物ヨータJotaは豚肉、スモーク・パンチェッタ、インゲン豆、クラウト、トウモロコシの粉の濃厚なスープだ。ニョッキ・アッレ・プルーニェGnocchi alle prugneは干しプラム入りのニョッキにバター、シナモン、砂糖のソースをかけたもので中央ヨーロッパの影響が色濃い料理だ。パプリカを使ったハンガリー風牛肉のシチューのグーラッシュGoulash はハプスブルグ帝国支配下にあった時代の名残である。この州でもポレンタはよく食べられる。

ペアリング

おすすめワイン


テッレ・アルテ

格付: ロサッツォ DOCG

 

チャルソンス

シナモンとミントの個性的な香り、ジャガイモを主体とした詰めもの、砂糖を使用した甘い味付け、非常に個性的ですがフリウリ‐ヴェネツィア・ジューリア州の伝統的な詰めものパスタです。おそらく東ヨーロッパの影響からこのようなスタイルの味わいが誕生したのでしょう。かつて砂糖は高級品だったことを考えれば贅沢な料理であると言えます。軽やかなワインよりも、同地域の豊かで複雑なアロマとリッチな味わいを持つテッレ・アルテがおすすめです。

 

仔牛のウィンナーシュニッツェル

オーストリアを中心に東ヨーロッパで幅広く食べられているカツレツがウィンナーシュニッツェルです。オーストリアと国境を接しているフリウリ‐ヴェネツィア・ジューリア州では、州都トリエステで郷土料理の一つとして親しまれています。柔らかく上品な仔牛肉を使うことで赤ワインだけでなくリッチな白ワインと合わせることが出来ます。肉料理と白ワインを合わせる際にはあまり冷やしすぎず、料理とワインを一緒に食べたときの食感を大切にしたいです。

 

鮑の酒蒸し

鮑は日本料理、中国料理、西洋料理のジャンルを問わず様々な調理法で提供される高級食材です。日本では煮鮑や酒蒸し、ステーキなどで提供されることが多いようです。いずれも凝縮したアワビのうま味を楽しめる料理ですが、今回は最も日本的な酒蒸しを選んでみました。日本酒を料理に使うことから、香り高く柔らかいテクスチャーの白ワインがこの料理に合いそうです。割烹料理のお店でも日本酒だけでなくテッレ・アルテのような上質なフリウリワインがあると、より粋な印象を与えることが出来ますね。

 

伊勢エビのテルミドール

伊勢エビの身を半割にしてクリーム系のソースをかけ、チーズなどをふってオーブンで焼いた料理で、非常に古典的な西洋料理です。リッチな味わいの料理ですのでワインもしっかりしたものを。テッレ・アルテは樽熟成によるリッチでふくよかなアロマと味わいがあり、この料理と高いレベルでの相乗効果が期待出来ます。シチュエーションとしては、家庭というよりはホテルやレストランのダイニングで味わいたいハレの日のペアリングです。

 

小籠包

北イタリアでは具材を包み込むパスタ料理ラヴィオリが至るところにありますが、中国料理の餃子とよく比較されるところです。その中でも小籠包は知名度も高く、なめらかな食感の生地と熱々でうま味たっぷりの詰めものがグルメな人たちを魅了し続けている料理だと言えるでしょう。ワインと合わせる際にはやはりワインが持つ上質なアロマとテクスチャーが鍵となりますが、テッレ・アルテはそのどちらも併せ持っていています。

 

フカヒレの姿煮

フリウリワインと魚介の煮込み料理との最上級のペアリングです。高級中国料理店で味わえるフカヒレの姿煮は数ある魚介の煮込み料理の中でも最もグレードの高い料理と言えるでしょう。うま味のある上品なスープをたっぷりと吸い込んだ柔らかなフカヒレには、リッチなアロマとなめらかなテクスチャーを持つテッレ・アルテが極上のペアリングを見せてくれます。香り、味わい、食感、いずれの面からも最高の組み合わせです。

 

おすすめワイン


フリウラーノ

格付: フリウリ・コッリ・オリエンターリDOC

 

サンダニエーレ産生ハム

イタリアでは各地で生ハムやサラミなどの畜肉加工品が生産されていますが、北イタリアの山岳地帯では、かつて冬になると居住地が雪に閉ざされ食料の確保が難しくなることから、冬を越すための保存食として生ハムやチーズ作りが発展してきました。サンダニエーレの生ハムは数ある生ハムの中でもパルマの生ハムと肩を並べる程までに成長し、地元消費だけでなく輸出も行われるようになり、今ではこの地方のアンティパストに欠かせない食材となっています。

 

アスパラガスのリゾット

アスパラガスは冷涼な北イタリアに欠かせない食材として様々な料理に使用されています。前菜やメインの付け合わせだけでなく、リゾットの具材としても重宝され、フリウリ地方の郷土料理として親しまれています。特に前菜からプリモピアットにかけて活躍する機会の多い、フリウラーノから造られたクリーンな白ワインには、わずかに心地よいグリーンのノートがあり、アスパラガスが持つヴェジタルなフレーバーと相乗します。

 

フグ鍋

フリウリワインと魚介の煮込み料理を応用させたペアリングです。日本には様々な鍋料理があり、魚介を使ったレシピも豊富にあります。その中でもフグ鍋はより贅沢感を感じる鍋料理で、繊細かつ上質な白ワインが求められますが、イタリアの白ワイン造りを牽引するフリウリのワインはベストな選択肢となるでしょう。上品ながら味わい深いフグと、やはり上質な酸とミネラル感を持つフリウラーノは贅沢な調和を見せてくれます。

 

カボチャのコロッケ

フリウリ‐ヴェネツィア・ジューリア州の郷土料理にカボチャのニョッキがあります。形も大きく濃厚な味わいがこの地方の料理の特徴です。カボチャは日本でもポピュラーな食材で様々なレシピがありますが、カボチャのコロッケは特に人気の高い料理と言えるでしょう。特に高価な食材でなくても、揚げたてのコロッケの凝縮した甘みとホクホクの食感は誰もが楽しめる料理です。少し冷やしたフリウラーノとともに家庭でも手軽にできるペアリングです。

 

車エビの塩焼き

ヴェネトからフリウリのアドリア海沿岸では手長エビの料理が名物です。シンプルにグリルしたものから煮込み、リゾットまで様々な料理法で提供されています。日本でもエビ料理のレシピは沢山ありますが、上質な車エビは手の込んだ料理法でなくてもシンプルに塩焼きにしたものがいちばん美味しく味わえるでしょう。レモンなどの柑橘を少し搾ることでフリウラーノが持つ柑橘やハーブのようなアロマが料理に寄り添ってくれます。

 

七草粥

フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州では春先に目を出す野草、スクロピトをリゾットにして食べる料理があります。日本では、七草粥のようなものでしょうか。海山問わず四季の食材を料理に生かすのは日本とイタリアの共通するところです。わざわざワインに合わせる料理ではないかもしれませんが、最近の七草粥にはリゾットっぽく仕上げたり、または七草のパスタのようなバージョンもありますので、ワインとともに楽しむことも可能だと思います。

 

おすすめワイン


ピノ・グリージョ

格付: フリウリ・コッリ・オリエンターリDOC

 

フリーコ

モンタージオというフリウリ‐ヴェネツィア・ジューリア州のチーズにジャガイモを練り合わせて焼き上げた素朴で味わい深い郷土料理。今では日本のファミリーレストランでも似たような料理を見かけるようになりました。出所のはっきりした郷土料理には、香りや味わい面での相性ではなく郷土性を重視したペアリングを行いたいところです。この組み合わせから生じる香りと味わいの相乗こそが、この地域伝統の味わいであると考えます。

 

ランバシッチ

聞き慣れない料理名ですが、フリウリ‐ヴェネツィア・ジューリア州の郷土料理で、挽肉やジャガイモなどの詰め物を縮緬キャベツで包み、パプリカを加えて煮込んだフリウリ版ロールキャベツです。料理にパプリカを多用するのはこの地特有の特徴と言えるでしょう。味わい深いスープをしっかりと吸い込んだロールキャベツにはより味わいに厚みを持つピノ・グリージョがおすすめです。家庭でも楽しめるペアリングとなるでしょう。

 

鶏ささ身の焼鳥(ワサビ)

近年ではワインの品揃えが豊富な焼鳥屋さんも多くなってきました。焼鳥に合うワインは数多く、様々なバリエーションが楽しめる料理です。ささ身とフリウリワインのペアリングのポイントはずばりワサビです。フリウリ‐ヴェネツィア・ジューリア州では西洋ワサビをかじりながら肉のローストを食べることもあり、ワサビという食材が非常にポピュラーです。ワサビと鶏肉、炭焼きの香りがピノ・グリージョの持つアロマとも好相性です。

 

シュークルート

スパイスと一緒に塩漬けして乳酸発酵させた千切りキャベツの料理です。フランスのアルザス地方の名物料理で、ソーセージやジャガイモなどとともに食します。フリウリ‐ヴェネツィア・ジューリア州もオーストリアの食文化の影響を受けていることからクラウティやブロヴァーダのように酢漬けや発酵させた野菜料理があります。郷土の料理に郷土のワインを応用させたペアリングです。そう言えば、アルザスでもピノ・グリージョ(ピノ・グリ)のワインが造られていますね。

 

参鶏湯

参鶏湯は鶏肉の中に高麗人参、もち米、松の実などを詰めて煮込んだ韓国の薬膳料理です。貴族階級の間で誕生し、韓国では主に夏の料理として提供されているようですが、寒い冬でも体を温めてくれるため一年を通して人気がある料理です。具材の出汁が出た上品な味わいのスープと高麗人参のほろ苦さに合わせることがポイントです。ピノ・グリージョによる白ワインはほのかにビターな余韻を持ち、白身の鶏肉料理とも相性が良く根菜系のほろ苦さとも相乗します。

 

しゃぶしゃぶ

フリウリワインと魚介の煮込み料理は間違いのない組み合わせですので、様々な鍋料理のバリエーションを持つ日本の食卓では大活躍してくれるはずです。魚介だけでなく牛肉や豚肉などのしゃぶしゃぶにもおすすめ。素材の味わいを生かした上品な味付けには、主張しすぎることなく食材に寄り添うフリウリワインは最適です。料理とワインのグレードも合っています。ブドウ品種はより厚みのある果実味を持つピノ・グリージョが良いでしょう。

 

おすすめワイン


リボッラ・ジャッラ”ベネデーテ”

格付: ビアンコ・デッレ・ヴェネツィエ IGT

 

鰯のインサオール

古代ローマ時代に起源を持つ、揚げた魚をヴィネガーに漬けた料理は古代ローマの拡大によってヨーロッパ各地に伝えられ、ヴェネトからフリウリではインサオールと呼ばれています。特にフリウリは古代ローマの影響がしっかりと残っている土地柄もあって、アドリア海沿岸でよく食べられている料理です。ヴィネガーの強い酸味には、合わせるワインにも酸の強さが求められますが、リボッラ・ジャッラはこの地方で豊かな酸を持つ品種の一つです。

 

ブロデット・ビアンコ

良い漁場の近くには漁港があり、漁港があればそこで働く漁師たちによる漁師料理があるのは万国共通です。様々な魚介を煮込む料理ブロデットはイタリア各地にありますが、中部から南イタリアではトマトの使用が見られるのに対し、ヴェネトからフリウリ地方のものはトマトの影響があまり見られません。フリウリ‐ヴェネツィア・ジューリア州の白ワインと料理のペアリングを考える際に、トマトを使わない魚介の煮込み料理を考えるのはひとつのセオリーです。

 

鯛のあら汁

フリウリワインにブロデット・ビアンコの組み合わせという考え方は様々な料理に応用できますが、和食バージョンのひとつが鯛のあら汁です。丁寧に下処理をして魚の臭みを取り除いた後、白ネギ、大根、豆腐などを加えて味噌や醤油、みりんなどで味付けします。九州では生姜を加えることもあり、リボッラ・ジャッラから造られるワインにもわずかに生姜の香りが感じられることから、九州スタイルのあら汁の方がより相乗性が高いと言えるでしょう。

 

魚の南蛮漬け

古代ローマ時代に起源を持つ、揚げた魚をヴィネガーに漬けた料理は古代ローマの拡大によってポルトガルへと伝えられ、16世紀になるとポルトガル船の日本への入港によって日本にもたらされ、南蛮漬けという料理が誕生しました。鱈、鰺、鯖などと様々な種類の魚を使用することができ、保存性も高い料理でもあります。家庭料理や学校給食の献立としても重宝され、日本中に広く普及し定着しました。日常的に飲めるリボッラ・ジャッラとより楽しめるでしょう。

 

マヨコーンピザ

主に日本のファミリーレストランが開発した創作ピザ(ピッツァではなくピザと表記します)で、ファミレスメニューの中でも爆発的人気を誇ります。フリウリ‐ヴェネツィア・ジューリア州ではトウモロコシの粉を練り上げたポレンタが大量に消費される土地ですので、トウモロコシに合わないワインはないといって良いでしょう。最近ではテイクアウトも出来るので家庭でもこのペアリングが楽しめます。ちなみにイタリア人からもアメリカ人からもピザにコーンを乗せるのは邪道らしく、法で禁止すべきだとのジョークもあります。

 

ジャガイモとベーコンのガレット

ジャガイモも畜肉加工品もこの土地の重要な食材で、郷土料理にも頻繁に登場します。これら二つを組み合わせた料理には様々なバリエーションがあり、ジャーマンポテトや某ファストフード店のベーコンポテトパイは日本でも非常にポピュラーです。このガレットも家庭で簡単に作ることができ、ビールなどあらゆるお酒に合いますが、郷土性を考慮するとフリウリワイン、豊かな酸とアロマを持つリボッラ・ジャッラは特におすすめです。

 

ペアリング提案

第12回JETCUP優勝

田上 清一郎さん

MAP

イタリアワイン格付(DOCG、DOC)一覧

DOCG 3

1 Colli Orientali del Friuli Picolit DOCG
コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリ・ピコリット DOCG
2 Ramandolo DOCG ラマンドロ DOCG
3 Rosazzo DOCG ロサッツォ DOCG

 

DOC 9

1 Carso DOC カルソ DOC
2 Collio Goriziano o Collio DOC
コッリオ・ゴリツィアーノ または コッリオ DOC
3 Friuli Annia DOC フリウリ・アンニア DOC
4 Friuli Aquileia DOC フリウリ・アクイレイア DOC
5 Friuli Colli Orientali DOC
フリウリ・コッリ・オリエンターリ DOC
6 Friuli Grave DOC フリウリ・グラーヴェ DOC
7 Friuli Isonzo o Isonzo del Friuli DOC
フリウリ・イソンツォ または
イソンツォ・デル・フリウリ DOC
8 Friuli Latisana DOC フリウリ・ラティザーナ DOC
9 Friuli o Friuli Venezia Giulia DOC
フリウリ または フリウリ‐ヴェネツィア・ジュリア DOC

フリウリ・ヴェネツィア・ジューリアのワイナリー