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シチリア シチリア

シチリア州

地中海のど真ん中に位置するシチリアは戦略的に重要で、古代から様々な文明の十字路だった。古代からフェニキア人、ギリシャ人、カルタゴ人、古代ローマ、ビザンティン、イスラム、ノルマン、フランス、スペイン、イタリア王国と様々な支配者がこの島を治めた。それらの文化、習慣、風習などと受け入れながらも、独自のシチリア文化を形成してきた。

 

シチリアはヴェネト、プーリア、エミリア・ロマーニャに次ぐ大ワイン産地である。以前はバルクワイン、精留濃縮果汁を多く生産していたが、1990年以降は優れたテロワールを反映した個性的なワイン造りに取り組んでいる。土着品種の宝庫で、白ブドウではインツォリア、カッリカンテ、グリッロ、グレカニコ、カタッラット、ミネッラなど、黒ブドウではネーロ・ダヴォラ、ネレッロ・マスカレーゼ、ネレッロ・カップッチョ、フラッパート、ペッリコーネなど興味深いものが数多くある。シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、シラーなどの国際品種でもいい成果が出る。

 

多様なテロワールが混在しているので、「シチリアワイン」と一言で捉えることはとてもできない。海抜レベルの畑から、標高1,200mの畑まであり、土壌も真っ白い石灰土壌、鉄分を含んだ赤い土壌、火山性土壌など多様だ。アフリカに近い温暖な気候の産地から、アルプスに近い気候のエトナまで、気候も様々だ。収穫も7月後半から11月半ばと3か月半にも及ぶ。

 

シチリアというと海を思い浮かべるが、実は山も多く、北部のシチリア・アペニン山脈にはペロリターニ山塊、ネブロディ山塊、マドニエ山塊があり、内陸部は夜の温度がかなり下がる産地も多い。海岸地帯は温暖な地中海性気候で、特にシラクーサ、アグリジェント、メンフィなどの南部はシロッコの影響を受けるので、夏はかなり暑くなる。

 

南というイメージとは全く異なるテロワールを持ち、「シチリア島の中の孤島」と表されるのがエトナだ。今も噴火を続けるヨーロッパ最大の活火山の麓という信じられない産地エトナでは、酸とミネラルが豊かで、シャープな味わいのDOCエトナEtnaが造られている。エトナ・ビアンコは酸が強いカッリカンテが主体で、塩っぽいミネラルを持つ、とてもフレッシュなワインが生まれる。長期熟成能力も高い。エトナ・ロッソはネレッロ・マスカレーゼ主体(少しネレッロ・カップッチョがブレンドされることもある)で、繊細で、生き生きとした、優美な赤ワインが生まれ、「地中海のブルゴーニュ」とも称される。シチリア島内外から多くの生産者が進出していて、世界で最も注目されている産地の一つだ。

 

シチリア唯一のDOCGであるチェラスオーロ・ディ・ヴィットリアCerasuolo di Vittoriaやシチリアを代表する黒ブドウであるネーロ・ダヴォラ(50-70%)に、フラワリーで優美なでフラッパート(30-50%)がブレンドされることにより、優美で軽やかさを持つワインとなり、幅広い料理にマッチする。

 

島の東南端パキーノは卓越したネーロ・ダヴォラの産地だ。海に近い石灰土壌で生まれるネーロ・ダヴォラは凝縮した果実味、フレッシュな酸、塩っぽい味わいを持つ個性的なワインだ。

 

島の西端のマルサラでは偉大な酒精強化ワインDOCマルサラMarsalaが造られる。生産規則が極めて複雑で、辛口から甘口まで、様々なタイプがある。一時期は品質の低下し、料理用ワインに成り下がってしまい、まだイメージ回復に成功していない。

 

モスカート・ディ・パンテッレリア/パッシート・ディ・パンテッレリア/パンテッレリア Moscato di Pantelleria/Passito di Pantelleria/Pantelleria、マルヴァジア・デッレ・リパリMalvasia delle Lipariなど甘口ワインも素晴らしい。

 

シチリア料理はパスタが有名で、鰯のパスタのパスタ・コン・サルデ Pasta con sarde、茄子とトマトのソースに熟成させたリコッタRicotta salataをかけたパスタ・アッラ・ノルマPasta alla Normaが知られている。トラパニ周辺で良く食べられる魚のソースをかけたクスクスであるクスクス・ディ・ペッシェCuscus di pesceはアラブの影響が強い。

ペアリング

おすすめワイン


アレマンダ

格付:ノート DOC

Caponata di melanzane

ナスのカポナータ。誰もが知るシチリアの前菜。カットした揚げナスを、トマトソース、タマネギ、セロリ、オリーブ、ケーパーなどとともに砂糖と酢で煮たもの。常温に冷まして食べる。島内各地でレシピは様々。トラパネーゼやカターニアなど、色々ありますが、どれが正解と決めずに、文化を愉しみながら、美味しくいただきます。 野菜の充実した旨味、食物繊維質のミネラル感、甘酸っぱい味わいに、ワインの爽やかな酸味、ミネラル感が絶妙にマッチング。永遠と食べ続けられてしまう、危険なペアリング。

 

Lolli with broad beans

シチリアのパスタ。豆のさやのような形をしているショートパスタです。指で窪みをつけながら転がすようにして成形します。パスタソースは、ソラマメのピューレを使い、クリーミーでハーバルに仕上げます。これはプラネタ社のオススメのペアリングでもあります。ワインの華やかなフレーバーに、お料理の豆由来の豊かなフレーバーが同調し、お料理の豆由来の食物繊維質と、クリーミーな味わいに、ワインのミネラリーなほろ苦さと、滑らかなテクスチャーがマッチング。プラネタ社、推奨のペアリング。

 

柚子が香る豚肉のはりはり鍋

水菜が旬の冬におすすめのはりはり鍋。柚子胡椒とポン酢で。豚肉の旨みと柚子胡椒がよく合い、シンプルで美味しい一品です。柚子胡椒の爽やかでスパイシーのニュアンスが、ワインの爽やかンフレーバーと同調し、ワインの酸味とポン酢の酸味が心地良くマッチングします。下支え型ペアリング。

 

タコのセビーチェ

ペルー生まれの魚介と野菜のマリネ、「セビーチェ」。タコをマリネし、野菜と混ぜるシンプルな冷菜。お料理の持つ素材本来のシンプルな味わい野菜の食物繊維質とタコの咀嚼からくる滋味深いアミノ酸、ワインのミネラリーなニュアンスがマッチング。マリネ液の爽やかな酸味とワインのフレッシュですがすがしい酸味が同調して、心地良い余韻へ誘います。同調型ペアリング。

 

海鮮チヂミ

にらたっぷりの野菜のホロ苦いミネラル感とごま油のコク、発酵調味料の酸味、魚介の旨味を感じるアミノ酸。ここにワインのミネラル感と、心地良い酸味が同調し、コクのあるごま油の油分とタンニンが結合します。最後に口中が甘やかな印象に変わります。下支え型ペアリング。

 

桜蝦美炒飯

桜海老のチャーハン 甘酢生姜の香り。桜エビの旨味たっぷりのチャーハン。エビの旨味とカリカリ感のニュアンスが、ワインのミネラルと、テクスチャーとマッチング。そこに甘酢生姜の爽やかで甘酸っぱい酸のニュアンスが、ワインのすがすがしい爽やかな酸味と同調し、旨味溢れる爽やかなフィニッシュを創ります。下支え型ペアリング。

 

おすすめワイン


エトナ・ロッソ

格付:エトナ・ロッソ

 

パスタ アッラ ノルマ(Pasta alla Norma)

カターニアの名産のパスタ。茄子とトマトのソースに熟成させたリコッタ(Ricotta Salata)をかけたもの。トマトの甘酸っぱい酸味と、ワインの心地良い酸味が同調し、茄子の食物繊維質のミネラルと、ワインのミネラルがマッチングし、コクのあるチーズと、ワインの程よいタンニンがフィックスします。ワインを飲むと、パスタが食べたくなり、パスタを食べるとワインが飲みたくなる、危険なルーティーンです。

 

ファルスマーグル(Farsumagru)

ハレの日のお料理。仔牛肉にサルシッチャ、モルタデッラ、ゆで卵、パンチェッタ、カチョカヴァッロ、ペコリーノ、グリーンピースなどを巻き、トマトソースで煮たもの。お料理の風味豊かでジューシーな質感、かつ赤身肉の個性が、ワインの持つフレーバー、質感、タンニンと素敵なバランスを生み出します。トマトソースに溶け込んだニンニクやハーブのニュアンスと複雑味のある酸味が、ワインの上質な酸味と一体化し、余韻を心地良いものにしてくれます。シチリアの王様の気分で。

 

鴨の梅肉焼き・大葉添え

出汁系、醤油、梅。鴨の弾力のある食感と、鴨本来の旨味を、梅肉で引き出したお料理。エトナロッソの持つ梅肉を思わせるトーン、そして梅由来の酸味がワインの心地良い酸味と同調します。ワインのミネラル感が、鴨の咀嚼感とマッチングし、鴨の香ばしい皮のニュアンスと、ワインの程よいタンニンが鴨の旨味をより引き立てます。同調型ペアリング。

 

サムギョプサル

ジューシーな豚の柔らかい肉とごま油香る、コクのある旨味が特徴。ワインの持つストラクチャーと豚の咀嚼感が同調し、噛めば噛むほど旨いペアリング。ごま油と程よいタンニンがマッチングし、最後はワインの酸味が口中を心地良くし、フィニッシュを甘やかに。包み込み型ペアリング。

 

ファヒータ

メキシコを代表するお料理。トルティーヤで包むグリルした肉料理を総称してファヒータと呼びます。グリルした鶏や豚、牛肉のハラミの香ばしいトーンと、パプリカなどの野菜をトルティーヤで包み、サルサやサワークリーム、スパイスなどと一緒に合わせます。色々なお肉のジューシーなニュアンスと、野菜のシャキシャキ感、そこにサルサのピリ辛、サワークリームの爽やかさが、ワインの程よいタンニン、心地良い酸味、ワインの持つミネラルと同調し、旨味あるフィニッシュへ向かいます。下支え型ペアリング。

 

葱爆京葱赤貝

赤貝と九条葱の黒胡椒炒め。赤貝のコリコリとした食感と、深みのある味わい、九条ネギの野菜のミネラル感が、ワインの持つミネラル感と、ほのかな塩味を伴う旨味と同調します。黒コショウのスパイス感が、赤貝からのこっくりとした出汁と絡まり、ワインのもつ程よいタンニンが口中を綺麗にコーティングします。寄り添い型ペアリング。

 

おすすめワイン


エトナ・ビアンコ

格付: エトナ・ビアンコ DOC

 

Pesce Spada Arrostito

メカジキのロースト。肉厚なメカジキなこんがりと焼き上げ、シンプルに上質なオリーブオイル、海のお塩、シチリアのレモンで。メカジキのしっとりとした繊維質の食感とワインの硬質なミネラル感が同調し、レモンの爽やかな酸味とワインのすっきりとした酸味、オリーブオイルでコーティングされたメカジキとワインのスムースな質感がマッチングし、さっぱりと、いつまでも食べていられるペアリングです。

 

Schiaffoni al Sugo del Pesce Stocco

スキアッフォーニは、大きなマカロニのようなパスタ。大きな平手打ちという意味です。カターニア近郊の海の幸を煮込んで、そこにパスタを加えたもの。魚介たっぷりの旨味と、食べ応えのあるパスタの咀嚼感が、ワインの上質な質感、ストラクチャーとミネラルに同調し、フィニッシュにかけて、心地良い酸味がじゅわーっと広がることで、口中がクリアにされ、またパスタが食べたくなる危険なペアリングです。

 

野菜の天婦羅(抹茶塩)

サクサクとした衣に、野菜の甘さ、食感、質感を閉じ込めた、万人に好かれる伝統料理。抹茶塩で合わせます。季節感のある葉物や根菜の食物繊維のニュアンスが、ワインの持つしっかりとしたミネラル感と同調し、また抹茶塩のミネラル感がコンビネーションし、まさにミネラルの3重奏のよう。ワインの心地良い酸味が、フィニッシュにかけて長く持続し、口中をさっぱりとしてくれます。同調型ペアリング。

 

七宝菇燉竹笙醸魚翅

滋味 乾燥茸とふかひれ詰め。衣笠茸の蒸しスープ。繊細で奥深い味わいの中国料理。乾燥茸からのアミノ酸と、フカヒレの旨味が幾重にも層になって、展開していく。そこに、ワインの持つ芯がしっかりとした骨格、切れのあるシャープな酸味、フィニッシュに感じる塩味を伴うミネラル感が、フカヒレのアミノ酸や質感を受け止め、余韻にかけて、旨味を広げる印象。下支え型ペアリング。

 

エビとイカのフリット

さくっとした衣を纏った、プリプリのエビと、歯切れのよいイカ。噛めば噛むほど、旨味が広がります。仕上げにレモンを絞ることで、より爽やかに。ワインの持つミネラル感と、イカ・エビの旨味成分が同調し、クリスプな酸味と芯のしっかりとしたストラクチャーが、衣のサクサク感とレモンのフレッシュな酸味に寄り添います。同調型ペアリング。

 

クラブグラタン

コクのあるクリーミーな味わいの蟹グラタン。香ばしいチーズのニュアンスと、深みのある味わい。ワインのミネラル感が、甲殻類のミネラルをしっかりと受け止めて、旨味に変えて、甘やかなフィニッシュに向かいます。お料理の質感はトロっとしてクリーミーですが、ワインはミネラルウェイな方向が、逆説的に爽やかな方向へ。クリーミーな乳酸が、ワインと出会うことでサワークリームのような方向へ。逆説型ペアリング。

 

ペアリング提案

第13回JETCUP優勝

瀧田 昌孝さん

 

おすすめワイン


テレビント

格付: メンフィDOC

魚介のクスクス

アラブから伝わったクスクス料理。トラパニを中心とする西シチリアでは魚介のスープをかけて食べるのが一般的です。合わせるワインは酸とミネラルが豊かで柑橘の香りを持つ爽やかな白ワインがベストでしょう。海にも近い温暖なメンフィでグリッロと呼ばれるブドウ品種から造られるテレビントはその豊かな柑橘の香りが特徴的です。温暖な南のワインとは思えないほど上品で豊かな酸を保持しているのも大きな特徴です。シチリアの教科書的な組み合わせの一例です。

 

鰯とウイキョウのパスタ

海に囲まれた大きな島であるシチリアは様々な魚介料理が楽しめます。中でも鰯などの青魚を使ったレシピが豊富にあり、鰯とウイキョウのパスタもシチリアの伝統的な郷土料理でカサレッチェなどのショートパスタで提供されることが多いです。青魚を使用した料理は生でも火を通してもレモンなどの柑橘を搾ることが多いですね。同じ理屈で、青魚には豊かな酸味と柑橘の香りを持つ白ワインが抜群の相性を見せてくれます。

 

アジのフライ

シチリアには鰯などの青魚にパン粉を付けて揚げるベッカフィーコという料理があります。柑橘やハーブ、オリーブなどの香りも加わる郷土色豊かな料理です。青魚にパン粉を付けて揚げる料理は日本にも存在しますが、中でも肉厚のアジのフライは食べ応えのある一品です。塩、ウスターソース、タルタルソースなど味付けは様々ですが、いずれもレモンなどを絞る場合が多い料理です。柑橘の香りと酸味を加える意味でもこのテレビントとアジのフライとは好相性だと言えます。

 

フィッシュバーガー

近年ではリッチな牛肉のハンバーガーを赤ワインとともに楽しむことも増えましたが、同様に魚を使用したフィッシュバーガーを白ワインとともに楽しむのもお洒落ではないかと思います。通常ワインと合わせる機会の少ない料理だからこそ、様々なペアリングを開発していける可能性がありますし、その際にはどんなワインを合わせるかがソムリエの腕の見せ所です。衣をつけて揚げた魚とテレビントの相性は言うまでもなく、お洒落で目を引くボトルデザインも魅力的です。

 

海鮮ちらし寿司

シチリアの白ワインの大きな特徴として寿司と非常に相性が良いことがあげられます。特にテレビントは柑橘のアロマが豊かで爽やかな酸を保持していることから、様々な寿司ネタと合わせることができます。近年では寿司店でも様々なワインを見かけますが、シチリアワインを見ることは少なく、シチリアワインを取り入れることで他店との差別化も図れるでしょう。活躍すること間違いなしのワインの一つだと思います。色とりどりの魚介を酢飯と合わせた海鮮ちらし寿司にはまさに最適な白ワインです。

 

タコ飯のアランチーニ

日本料理とシチリア料理を組み合わせた創作料理です。タコは日本でもシチリアでもよく食される食材で、アランチーニはシチリアのライスコロッケです。この中身をタコのラグーとお米を合わせたタコ飯で作ります。テレビントは郷土の料理であるアランチーニにも日本のタコ飯にもよく合いますので申し分ない組み合わせです。少し小さく作って前菜盛り合わせの一品として、または大きめに作ってそのまま頬張っても美味しいです。

 

おすすめワイン


フラッパート

格付:ヴィットリアDOC

 

ノルマ風パスタ

トマトソースで和えたパスタにフリットにしたナスを乗せて、仕上げに熟成させたリコッタチーズをかけた、東シチリアの名物パスタです。出所がはっきりしている郷土の料理には、しっかりと郷土のワインを合わせたいところ。プリモピアットであるカジュアルさ、野菜中心の素材であることを考えればスパイシーな香りを持ち、軽やかなスタイルのフラッパートがぴったりでしょう。ランチタイムにも気軽に楽しめるペアリングです。

 

鰯のベッカフィーコ

魚料理には白ワインだというイメージが日本ではまだ優勢でしょうか。イタリアでは、特にシチリアでは魚料理に白ワインではなく赤ワインという組み合わせは日常的に行われています。シチリアを代表する鰯料理ベッカフィーコも、白ワインだけでなく赤ワインとも楽しめます。揚げた鰯の油分もフラッパートの酸味と程よいタンニンがきれいに洗い流してくれますし、スパイスのフレーバーが料理の味わいを引き立ててくれる、シチリアならではのペアリングを感じさせてくれます。

 

魚介醤油スープのつけ麺

シチリアには魚介スープをクスクスにかけて食べる郷土料理があります。何かに似ていますね。そう、魚介スープのつけ麺です。シチリアでは白ワインと合わせることも多いですが、フラッパートのスパイス感とうま味たっぷりの魚介スープもまた大変相性が良いのです。醤油ベースの魚介スープにすることでスープのコクとフラッパートの程良いタンニンが見事に相乗します。つけ麺にワイン!?と思われるかもしれません。一度試してみてください。きっとシチリアの海風を感じることができるでしょう。

 

アンチョビのカナッペ

アンチョビはワインと合わせることが最も難しい食材のひとつです。万能なペアリングアイテムであるスパークリングワインもアンチョビが持つ生臭さを強調させてしまうものがほとんど。しかもアンチョビのカナッペはパーティー料理で供されることも多く、まさにソムリエ泣かせの食材です。そんな時、このフラッパートがあれば問題解決です。フラッパートが持つスパイシーなフレーバーがアンチョビの生臭さを打ち消し、見事なペアリングとなるのが本当に不思議です。

 

羊串肉(ヤンロウチュアン)

ペコリーノの産地でもあるシチリアでは仔羊肉もまたよく食されます。シチリアの赤ワインと仔羊肉も合わないはずがありません。羊串肉(ヤンロウチュアン)は中国の中でもウイグル料理を代表する一品です。仔羊肉を串に刺してクミンなど様々なスパイスを付けて焼き上げる料理。ワインにもスパイシーさが求められますがフラッパーのスパイシーなフレーバーはこの料理にも相乗します。手軽に食べられる屋台料理には手軽に楽しめるワインという側面も重要です。

 

モツ焼き

シチリアにはスティッギオーラというストリートフードがあります。仔羊のの腸を串に刺して炭火で焼いた料理で塩とレモンでいただきます。特にスパイシーな香りを持つ赤ワインと相性が良いと言えるでしょう。日本では居酒屋や焼鳥屋でフライパンで焼いたり串に刺して炭火で焼いたモツ料理を楽しむことができます。モツの臭みもフラッパートのスパイシーな香りが打ち消して、酸とタンニンがモツの脂分を綺麗に荒い流してくれます。

 

おすすめワイン


サンタ・チェチリア

格付: ノートDOC

 

ファルスマーグル

仔牛肉を薄く伸ばしてゆで卵、挽肉、サラミなどの詰めものをして巻き込んで蒸し煮にし、トマトソースをかけた一品。この複雑な調理工程は庶民料理ではあり得ず、宮廷料理の流れを組むものです。宮廷料理に合わせるワインには、それなりの格調高さが求められます。サンタ・チェチリアはシチリアのネロ・ダヴォラを代表する銘柄のひとつで、プラネタ社のフラッグシップ的存在のワイン。シチリアの美食を体験できるベストな組み合わせの一つです。

 

黒豚のグリル

シチリアの一部の地域ではネブロディ黒豚という希少な黒豚を使った料理が名物料理として存在します。日本では手に入れることが難しい豚肉ですので、かごしま黒豚などの上質な黒豚で代用すると良いでしょう。上質な豚肉はシンプルかつ丁寧にグリルすることでうま味が際立ち、プラネタのワインの中でも最も風格あるサンタ・チェチリアが持つ上質な酸ときめ細かなタンニン、そしてエキゾチックな香りが見事に相乗します。

 

鮪中トロの寿司

シチリアをはじめとする南イタリアでは赤身の魚に白ワインではなく赤ワインを合わせることが日常的に行われていますが、鮪などの赤身の寿司と、少し醤油のようなニュアンスを持つネロ・ダヴォラは特に相性の良い組み合わせと言えるでしょう。鮪料理は日本だけでなくシチリアやサルデーニャなど島部の名物料理でもあります。サンタ・チェチリアが持つ上質な酸ときめ細かなタンニンには、より脂肪分が豊かな中トロがおすすめです。

 

黒酢の酢豚

シチリア料理はアグロドルチェと呼ばれる甘酸っぱい味付けの料理法が特徴の一つとなっています。代表的なものはカポナータが挙げられますが、セコンドピアットでもアグロドルチェのソースをかけた料理がいくつも見られます。日本人にとって最も身近な甘酸っぱい料理といえば酢豚が挙げられるでしょう。サンタ・チェチリアが持つ複雑でエキゾチックなフレーバーには、シンプルな酢ではなく熟成感のある上質な黒酢を使うことでより贅沢感のあるペアリングが楽しめます。

 

北京ダック

普段の家庭料理では味わえないハレの日の料理には、やはりワインも普段家飲みするものよりも少し贅沢したいものです。中国の宮廷料理の代表とも言える北京ダックにはやはり格式高いシチリアのネロ・ダヴォラがおすすめ。しっとりと上品な味わいの北京ダックにサンタ・チェチリアの酸とタンニンがしっかりと絡み、丸焼きにした香ばしい香りとワインが持つオリエンタルスパイスの香りがうまく相乗します。シチリアワインと東洋の料理との相性の良さを実感できるでしょう。

 

仔羊肉のクスクス

シチリアのクスクスといえばトラパニ近郊の魚介のクスクスが有名ですが、チュニジアでは仔羊肉のクスクスがポピュラー。ワイン生産地であるノートはチュニジアと距離的にも近く、食文化も北アフリカの影響を大きく受けていることからチュニジア料理とシチリアワインも好相性のものが多いです。北アフリカ料理特有のスパイシーさとワインが持つスパイシーなフレーバー、肉と野菜のうま味をたっぷり染み込んだクスクスにワインの上質な味わいが良く合います。

 

おすすめワイン


マメルティーノ

格付: マメルティーノDOC

 

カジキのグリル

魚料理に赤ワインという組み合わせ、シチリアでは珍しくありません。カジキのグリルはシチリアの名物料理ですが鰯のベッカフィーコよりもスケールが大きいことを考えれば、合わせるワインもフラッパートよりも上質なものを選びたいです。マメルティーノの産地カーポ・ミラッツォは見渡す限りの青い海。マメルティーノは海風をたっぷりと浴びたブドウで丁寧に造られたワインです。カジキのうま味とふっくらとした食感に黒系果実の香りと優しいタンニンがしっかりと寄り添います。

 

ティンバッロ

フランスのブルボン家が18世紀に両シチリア王国を統治していた時代にルーツを持つ宮廷料理です。茹でたパスタをラグーなどで和えて、揚げたナスで包んだ後、さらに生地で包みオーブンで焼く。家庭では出来ない宮廷料理には格式高いワインを。マメルティーノはその雄大な景観が広がるテロワールが大きな特徴ですが、実は古代ローマ時代から続く銘醸産地でもあり、親しみやすい中にもしっかりと歴史に受け継がれた品格を感じるエレガントなワインです。

 

鰹のタタキ

ネロ・ダヴォラと赤身の魚の相性を実感していただける組み合わせの一つです。表面を香ばしく焼き上げて、赤身の魚が持つ酸味と鉄分を感じさせる味わいにはネロ・ダヴォラの酸味とタンニンが非常に相性が良いのです。もうひとつのネロ・ダヴォラの特徴として醤油との相性の良さがあります。このブドウ品種自体にもどこか醤油のようなニュアンスがあり、和食との相性が良くなります。可能であればアクセントとしてオリーブオイル、しかもプラネタのものをかけることでより相乗効果が高まります。

 

東坡肉(トンポウロウ)

醤油などで煮込んだ豚の角煮を中華饅頭で挟んで食べる中国料理のストリートフードで、日本の中華街などでも食べることができます。八角などの東洋的なスパイスの香りも魅力の料理です。醤油やオリエンタルスパイスのニュアンスを持つネロ・ダヴォラは総じて東洋の料理とも相性が良いのが特徴ですが、シチリアでは様々な豚肉料理とも合わせることができる点を考えれば、この組み合わせは相性の良さをより強く実感することができるペアリングと言えるでしょう。

 

ロコモコ

シチリアの宮廷料理ファルスマーグルを分解すると仔牛肉、挽肉、ゆで卵に分けられますが、ハンバーグと目玉焼きを白飯の上に乗せてグレイビーソースをかけたハワイの料理、ロコモコとよく似ていることが分かります。ワイン産地のカーポ・ミラッツォは見渡す限りの青い海が広がっており、この要素もハワイとの共通点です。海のミネラルをたっぷりと浴びたブドウから造られるこのワインは、ロコモコとともにビーチのレストランなどで海を見ながら楽しむ、そんなペアリングも似合います。

 

ロースとんかつ

肉厚の豚ロース肉にパン粉を付けて油で揚げる言わずと知れた豚肉の定番料理です。専門店ではすり鉢で胡麻をすってとんかつソースに加えることもあります。この豚肉もパン粉も胡麻もシチリアではよく使われる食材なのでこれらが組み合わさったとんかつはシチリアワインと合わない訳がありません。このとんかつソースの酸味とコクもワインが持つ酸味とタンニンが相乗し、熟成して複雑なソースの香りもネロ・ダヴォラのもつオリエンタルな香りとうまく相乗します。

 

ペアリング提案

第12回JETCUP優勝

田上 清一郎さん

MAP

イタリアワイン格付(DOCG、DOC)一覧

メンフィDOC
ヴィットリアDOC
ノートDOC
マメルティーノDOC
エトナ・ロッソ DOC
エトナ・ビアンコ DOC

Vintage Report

Tempo dei primi bilanci della vendemmia 2021

La vendemmia 2021 per Planeta , è iniziata l’8 Agosto a Menfi , con la raccolta dello Chardonnay , e si è conclusa con il Nerello Mascalese a Sciara Nuova il 16 Ottobre.
プラネタの2021年の収穫はメンフィにて8月8日にシャルドネからスタートし、10月16日エトナのシャラ・ヌオーヴァにてネレッオ・マスカレーゼで終了しました。
まず、全体的に2021年について話しをしましょう。
2020年のシチリアでの収穫は高品質でしたが、量が少なかったです。
というわけで、ブドウの木が次の年を迎える為十分にエネルギーのセーブできました。
プラネタ社にとってはサステイナブルな農業が10年以上続き、2021年は初めてのオーガニックで行う年となりました。全てが順調で、良い気候にも助けられました。

2020-21年の冬は東シチリア、そして意外なこと、エトナとカポ・ミラッツォにて極めて雨量が少なかったが、西の方では平均より少しだけ雨量が下回りました。
発芽は若干早まり、春の天候の傾向は時期尚早をすることはありませんでした。収穫は一週間しか早まりませんでした。
シチリアの場合、品質に大変重要となる夏は、たしかに数日の猛暑がありましたが、異常な暑さの2017年のような年に比べますと、総合的に猛暑日がそれほど多くはありませんでした。
しかしながら、明らかに良質な収穫にしたのは、いくつかの雨の日であり、シチリアの夏にすると、雨量が多かったです。一回は6月、もう一回は7月、そして8月もまた一回雨が降りました。その間、感想をしていた日々が続き、収穫に最高に良かったです。
これらの雨は暑さの影響を和らげ、西部(メンフィ)で特別に良い収穫をもたらしました。ここでは、乾いた春と時々降る雨が好むシチリアの固有品種の白ブドウ(グリロとグレカニコ)の最高の品質が得られました。また。いくつかの国際品種、カベルネ・フラン、メルロ、そしてシラーが最高のいい出来となりましたが、色とタンニンハイクオリティとなりました。
ブドウが健全で完璧な状態となりました。 2020年と2018年の収穫のほぼ中間の量。つまり、一般的に、通常の収穫の平均生産量となりました。
ヴィットリアでの生産量は約15%減少しましたが、ブドウが健全で凝縮感のあるフラッパートに仕上がりました。同じようなことがノートであり、ネロ・ダヴォラ100%で造る、偉大なサンタ・チェチリアになることが期待できます。
とにかく、ヴィットリアとノートではとても健全なブドウが取れたので、オーガニックで初めての年として最高でした。
カポ・ミラッツォでは一時的に湿気の高い海風が入ってきた為、もう少し複雑な収穫となりました。一部量をブドウ園で減らすことが必要となりましたが、最終的にバランスの取れた、固有品種らしいワインが造れました。ネロ・ダヴォラよりノチェーラの出来が良いです。

エトナでは非常に健全なブドウが取れました。ネレッロ種がかなり凝縮しています。生産量が若干少なめですが、特に最も高地で取れたブドウの品質は最高に良いです。

最後に纏まりますが、2021年は西シチリアで素晴らしい収穫となりました。
東では少し生産量がしたまわっていますけれども、健全で凝縮しているブドウが取れました。